EUのコペルニクス気候変動サービス(C3S)が2020年10月7日に、「2020年9月は観測史上最も暑い9月だった」と発表しました。

September brings record-breaking warm temperatures and low sea ice | Copernicus

https://climate.copernicus.eu/september-record-breaking-warm-temperatures-low-sea-ice

2020 Had the Warmest September on Record, Data Shows - The New York Times

https://www.nytimes.com/2020/10/07/climate/hottest-september.html

September was world's hottest on record, EU climate change service says | Reuters

https://uk.reuters.com/article/uk-climate-change-record-idUKKBN26S1E6

世界全体の平均気温は、広い地域の気温を測定することが難しいことから、平年と比較した平均気温偏差によって表されます。C3Sは10月7日に、2020年のすべての月の平均気温偏差が、それぞれの月の観測記録トップ4以内にランクインしたことを発表しました。中でも1月と5月は過去の記録をそれぞれ0.03℃と0.05℃上回り過去最高記録となりました。さらに、2020年9月はこれまで最も暑い9月だっ2019年9月より気温が0.05℃高く、またしても記録破りの月だったことが判明したとのこと。

以下は、1979年〜2020年までの9月の気温偏差を、1981年〜2010年の9月の平均値と比較したもの。一番右の2020年9月の棒グラフが最も高いことから、2020年9月が観測史上最も暑い9月だったことが示されています。



C3Sによると、2020年9月が暑かったのは世界的な傾向とのこと。以下は、2020年9月の気温を1981年〜2010年までの9月の平均と比較した結果を表したもので、赤い部分は過去の記録より気温が高いことを示しています。地図を見ると、EU、ロシア、中東、南アメリカ、オーストラリアなどに赤い部分が広がっており、2020年9月には世界各地で高い気温が記録されていたことが分かります。



中でも、特に異常な高温に見舞われたがロシアのシベリアです。この地域における冬から春にかけての気温は例年にない高さで、例えば2020年5月の気温は例年に比べて10℃も高かったとのこと。この傾向は夏に入っても続き、北極圏としては異例となる最高気温38℃を記録した観測所もありました。

また、北極海の氷の面積も9月における面積としては、観測史上2番目に狭くなっているとのこと。専門家は、「このままでは2050年までに北極海の氷が完全に解けてなくなる」と予想しています。



アメリカ海洋大気庁(NOAA)は4月に、「2020年が史上最も暑い年になる可能性は約75%で、トップ5に入る可能性は99%以上」との予測を発表しており、例年より気温が高い状況は今後も続くものと見られています。

C3Sの主任研究員であるフレイヤ・ヴァンボルグ氏は、ロイター通信の取材に対し「気温が高くなると、熱波や大雨といった極端な気象現象が頻繁に発生し、程度も激しくなります。温室効果ガスの排出量が今のままであれば、地球はさらに温暖化するでしょう」と話しました。