美容・化粧品会社らが業界の過剰・過大包装問題について話し合いを続けるなか、ユニリーバのふたつのブランド、ラブ・ビューティ・アンド・プラネット(Love Beauty And Planet)とラブ・ホーム・アンド・プラネット(Love Home And Planet)はホリデーシーズンに向けて新たな姿勢を打ち出すことを決めた。

両ブランドは12月8日の日曜日に、ニューヨーク・タイムズ紙(the New York Times)へ見開き2ページに渡る、いわゆる全段広告を掲載した。この広告はホリデーシーズンのギフト包装を連想させるデザインで、リサイクルを示唆する文言を配しており、リサイクル可能な包装紙としても使用できる。その意図は? ニューヨーク・タイムズの読者とラブ・ビューティ・アンド・プラネットおよびラブ・ホーム・アンド・プラネットの顧客の目をホリデーシーズンの大量のごみ問題にあらためて向けさせることにあると、両ブランドの立ち上げを牽引した同社GM/米ヘアケア部門マーケティングVP、ピユシュ・ジェイン氏は語る。

「どちらのブランドも、パーパス(企業としての目的・存在意義)に基づいて立ち上げた」とジェイン氏。「ブランド名に『プラネット(地球)』を入れたのは、我々がこの問題に対する責任をきわめて真剣に受け止めているからにほかならない」。

「印刷媒体への揺り戻し」

ニューヨーク・タイムズによれば、ビューティカウンター(Beautycounter)やグロッシアー(Glossier)をはじめ、ビューティブランドによる紙面広告の出稿量が増加傾向にある。これらはビューティカウンターの場合のように、自社の積極的行動を通じて、さらなる協議の必要性を業界内に訴える広告と、グロッシアーのそれのように、多様性と包括性を推すものに大別されるという。そしていずれの場合も、コストは小さくない。現在、タイムズ紙の日曜版には読者が460万人おり、同社のメディアキット(報道関係者向け資料)によれば、この種の広告出稿料は10〜15万ドル(約1095〜1640万円)。しかも、フルカラーとなれば、料金はさらに高くなる。ユニリーバは今回の広告出稿料について具体的な数字は明かさなかった。

ブランド創設者でグローバルブランドディレクターのソニカ・マルホトラ氏によれば、今回のマーケティング活動は、同社が2019年前半にニューヨーク・タイムズ紙に掲載した3つのブランデッドコンテンツとはまったくの別物だという。後者は世界海洋デーなどのイベントに合わせ、同紙のウェブサイトにブランデッドコンテンツスタジオを介して載せたものだった。

「現在、印刷媒体への揺り戻しが起きている。デジタル化が進み、広告が誰にでも出せるほど手軽になった結果、印刷媒体が確固たる正当性の証として再び注目されているからだ」と、マーケティング・テクノロジーエージェンシー、ディジタス(Digitas)のVP・コンテンツディレクター、エリン・フラハーティ氏は指摘する。「米政情を受けて、ニューヨーク・タイムズの信頼度は上がっている。同紙の日曜版は依然として定期購読者を多く持つ、数少ない紙媒体の新聞のひとつだ。そこでキャンペーンを張れば、大衆の注目を一気に集められる。広告枠を買うにせよ、紙面で有機的に取り上げられるにせよ、新聞掲載がブランド価値を高めるためのシンプルな方法であることは間違いない」。

ニューヨーク・タイムズに掲載された全段広告

サステナビリティに本腰

ユニリーバの両ブランド、ラブ・ビューティ・アンド・プラネットとラブ・ホーム・アンド・プラネットは、創業以来(前者が2017年12月、後者が2019年1月)注目を集め続けており、2019年12月には1億ドル(約109億円)の売上に達した。両ブランドとも当初は米国のみの販売だったが、2019年に40余りの新たな市場への進出を果たしている。いずれもソーシャルメディアのエンゲージメント率が6%を超えており、ターゲット(Target)、ウォルマート(Walmart)、Amazonとの提携を介したインストアおよびデジタル顧客の30%がリピーターとなっている。

美容・化粧品業界は現在、過剰・過大包装問題に直面している。市場調査会社ユーロモニター・インターナショナル(Euromonitor International)によれば、2018年、美容・化粧品業界におけるプラスティック容器の需要は世界全体で1530億ユニットに上った。さらに、各社がギフト包装に力を入れる感謝祭から新年にかけては、 リサイクル不可能な素材が通常より25%増加した。この期間にはさらに、業界の重要インフルエンサーおよびエディターへのギフトやさまざまなリテーラーへのサンプルの数も増加する。

美容・化粧品会社は、単なるマーケティングに留まらず、本腰を入れてサステナビリティを訴えなければならないと、サステナブルコスメブランド、エイサー・ビューティ(Aether Beauty)の創設者ティーラ・アビット氏は断言する。「EPA(米環境保護庁)の報告では、埋立ごみの1/3は美容・化粧品業界のものであり、コスメ商品のパッケージがその大半を占めるとされている。しかも、ホリデーキットはその点でさらにたちが悪い」。

「消費者と繋がるための方策」

ラブ・ビューティ・アンド・プラネットとラブ・ホーム・アンド・プラネットによるタイムズ紙の広告は、イラストレーターのリア・ダンカン氏がデザインしたもので、今後、いずれのブランドの商品パッケージにも使用されることはないという。今回の新聞広告は高額ではあるが、単に売上増を狙ったものではないと、マルホトラ氏は語る。

氏いわく、「これは優れたマーケティングではあるが、積極的に消費者と繋がるための方策でもある」。

PRIYA RAO(原文 / 訳:SI Japan)