ピンタレスト(Pinterest)が、FacebookやGoogleの独占してきたオンライン広告の牙城を崩そうと試みている。

ピンタレストは11月第5週、新たに「ピンタレストショップ(Pinterest Shop)」と名付けられたプロフィールページを発表した。これは基本的に、小規模なブランドが商品を展示するための場所といっていい。掲載されるショップはピンタレストが選ぶ。ユーザーはそのショップリストをスクロールして、各社がアップロードしたカタログをクリックするという仕組みだ。現在同社は米国を拠点とする17社を取り上げており、今後さらに米国にとどまらず拡大していく予定だという。

ピンタレストは現在、GoogleやFacebook、そして勢いを増しつつAmazon以外のデジタル広告予算の使い道としてマーケターにアピールしようと取り組んでいる。デジタルブランドのカスタマー獲得費用は大幅に高騰しており、マーケターは新たなプラットフォームを模索している。調査会社のeマーケター(eMarketer)で主席アナリストを務めるアンドリュー・リップスマン氏は、ピンタレストショップについて、小さなアップデートのように思えるかもしれないが、ピンタレストは今回を含めてGoogleやFacebookの手法を真似つつ中小企業をターゲティングする取り組みを続けていると指摘する。

ピンタレストの魅力

ピンタレストのグローバルビジネスマーケティング担当リーダーを務めるコリーン・ストーファー氏はピンタレストショップは「より多くの業者をプラットフォームに引き込む」ための全体戦略の一貫だと語る。今年もこれまで同社はショッパブル投稿や全製品カタログをローンチし、小売業者を呼び込もうと努力してきた。

ストーファー氏は、これらの取り組みは良い結果をもたらしつつあると語る。小売業者がアップロードした製品カタログの数は、前四半期比で75%増加した。全体で見て、小売業者のコンテンツに対するクリック数は前年度比で3倍にまで増えたという。ピンタレストの収益は右肩上がりで、ウォルマート(Walmart)のような大手からD2Cの小さな企業まで、さまざまな企業に売り込みをかけている。

同社にとっての課題は、各社に対し、ピンタレストの仕組みとユーザーにとっての魅力をいかに訴えるかにある。ピンタレストは月間3億2200万人のアクティブユーザーを抱えている。そして、Facebookやインスタグラムとは少々異なる目的で使っているユーザーが大半だ。「ピンタレストには開かれた心で訪れるユーザーが多い」と、ストーファー氏は語る。ユーザーはピンタレストに何か新しいものを探しに来ており、同社はこれを戦略的差別化に活用できると考えている。「特に何かしようと決めて来ていないから、クリックしてもらえる可能性が高くなる」と、同氏は指摘する。

eマーケターのリップスマン氏は、ピンタレストがこれまでユーザーにとってどう魅力的なのかを説明し、データで示すことに苦戦してきたと解説している。「ピンタレストはファネルの途中段階としては優秀」だと、同氏は語る。だが「難しいのは正確な説明と測定の部分」なのだという。ユーザーはピンタレストからブランドのページを訪れれば、会社や商品について詳しく知ることになる。だが、その場で商品を買わない限り、ピンタレストが売上に結びついたとアトリビューションで結論づけることはできない。

売り込む好機の到来

それでも、FacebookやGoogleの料金が高騰しているいま、ピンタレストがマーケターから受け入れられる可能性はある。「既存の広告主から注目を浴びつつある」と、リップスマン氏は語る。次の課題は、大手だけでなく中小企業も使えるようなセルフサービスのツールを提供することだ。ピンタレストは「セルフサービスと中小企業を対象としたサービスを手掛けるべきだ」と、同氏は分析している。「Facebookがここまで強大になったのもそのためだ」。

ピンタレストショップが、中小企業向けに広告商品をアピールできるのは明らかだ。ストーファー氏は「ここ数年、中小企業向けにかなり積極的に取り組んできた」と語る。実際、ピンタレストショップはこれまでとは異なるブランドを引き込める方法になりうる。同氏によれば、ピンタレストは「これをどうやって拡張できるかを模索している途中だ」という。

おそらくピンタレストショップは始まりに過ぎない。第2のプラットフォームと呼ばれるSnapChat(スナップチャット)やTikTok(ティックトック)にはいまや、ブランドからお試しとは呼べない規模の予算が流入しつつある。ピンタレストもまた、これを広告商品を増やし、ブランドにアピールするチャンスと捉えているのだ。FacebookとGoogleについて、リップスマン氏は「もはやROIに優れたおいしいチャンスではない」と指摘する。「マーケターにとってより難しい場へと変わり続けている。だからこそ多様化のため、ほかのプラットフォームを模索する流れが生まれているのだ」。

Cale Guthrie Weissman(原文 / 訳:SI Japan)