作り手はこの世にひとり「バニラカー」全16型&内部を独占公開
バスタイプの第1号モデル(東京)
特徴的なテーマソングを流しながら繁華街を爆走し、もはや日常風景の一部となっているのが、求人情報サイト「バニラ」の広告宣伝車、通称 “バニラカー” だ。冒頭の画像は、東京を走る、ピンクのバスタイプだ
軽トラから大型バスまで、その種類は豊富だが、じつは “バニラカー” はすべて、ひとりの職人の手で生まれている。
「中古トラックや路線バスを買い上げてから、“バニラカー” に仕上げるまで、約2カ月かかります」
匿名を条件に、その秘技を教えてくれたのは、“バニラカー職人” のX氏。
「制作だけでなく、メンテナンスも請け負っています。特殊な加工を施しておりますので、修理工場へ依頼するよりも、私が修理するほうが早いんです。
朝、車庫に出勤すると、塀越しに車両を撮影する人を見かけます。路線バスマニアの方々が、2次利用されるバスを見て、楽しんでいるようです。ラッピングする際に、あえて路線バスの名残りをとどめるなど、遊び心を加えているせいですかね。最近は、マニアの間で『魔改造士』と呼ばれています(笑)」
バニラカーの運転手も、根強いファンに出会うという。
「繁華街を走行中に、よく写メを撮られますよ。『明日はどこ走るの?』と尋ねる方もいます。
湘南の海岸沿いで信号待ちをしていると、テーマソングに合わせて、『バ〜ニラ、バニラ』と、歌いながら踊りだす水着ギャルたちと遭遇しました。ほかの宣伝カーも運転しますが、こんな現象はバニラだけです」
なんとも羨ましいエピソードを教えてくれたのは、運転手歴2年のО氏だ。
「苦労もあります。法定速度を守っているので、後ろから煽られることもあります。その都度、道を空けるなど、機敏に対応しています。
また、地域によって音量制限が異なるので、音量の調節や、学校、消防署、病院前などではスピーカーをオフにするなど、近隣住民の方への配慮も欠かさずにおこなっています」(О氏)
以下では、謎に包まれた車内とバニラカーの全国16タイプを、写真とともに紹介する。
内部
●東京
冒頭の写真のタイプの内部。座席は運転席と補助席のみ。側面には液晶ディスプレイを搭載。内部には、“バニラカー” 専用の装置が設置されていた。
手前のダッシュボードに置かれているマイクは、騒音計。いつでも音量を確認することができる。ハンドル奥にのぞくモニターは、窓のディスプレイを操作、確認するための設備だ。
北海道
●北海道
派手さとかわいさの両立を狙い、ピンクの豹柄を採用した
東北
●宮城、山形、福島
パステル調で、キュートさと親しみやすさを演出する
北関東
●群馬、栃木、茨城
バニラ史上初の、赤色を基調にした1台。ベースは4tトラック
北陸
●富山、石川、新潟、福井
いちばん最初の “バニラカー” 。小ぶりな2t車だった
関東
●埼玉、千葉
比較的初期のデザインをあしらったもの。初の4トントラック
神奈川
●神奈川
10周年を記念して制作。現在は11周年バージョン
甲信
●静岡、長野、山梨
ピンクやパステルカラーを用いるようになった、最初のトラック
愛知1
●愛知(1)
「即日体験入店」などの、オプションプランを目立たせるために制作された
愛知2
●愛知(2)
最新車。車体の小さい軽トラゆえ、なるべく目立つ色に
阪神
●大阪、兵庫
阪神ファンを意識して、タイガースふうの色に
京都
●京都
県の景観条例に配慮して、茶色でシックにまとめた一台
中国四国
●広島、岡山、香川、愛媛
黄色の車体に星をちりばめた “バニラバス”
北九州
●福岡、佐賀、長崎
目立たせるために、初めて黄色をメインに据えたデザインに
南九州
●熊本、大分、宮崎、鹿児島
いろいろな形の吹き出しを敷きつめたポップなデザイン
沖縄
●沖縄
メインキャラクターの「バニ子」にヘッドホンをつけ、お馴染みのテーマソングを表現
ここまでご覧いただいたみなさんは、すでに立派なバニラ通。ぜひ、各地の “バニラカー” を見に行ってみて!
(増刊FLASH DIAMOND 2019年11月15日増刊号)