角切りが行われた施設。普段はシカがオスとメスに分かれて暮らしている=2019年10月9日午後3時6分、松山市北条辻、寺田実穂子撮影

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 松山市北条沖の鹿島(かしま)で、「角切り」を終えたばかりのシカ13頭のうち10頭が相次いで死んだ。

 昨年も角切りの後に5頭が死んでいる。県の天然記念物に指定され、観光客にも人気の島の名物に、何があったのか。

 鹿島は松山市の北条地区の沖約400メートルに浮かぶ周囲約1・5キロの島。名前の通り、古くから野生のシカが生息している。

 1961年、市は島の植生保護や観光面での活用のためシカ園を設置し、多くのシカを収容。2017年には島内の植物を食い荒らす被害が深刻化したため新しいシカ園も設け、島内の野生のシカをすべて柵の中で管理するようになった。

 角切りは毎年10月、発情期を迎えたオスが人や他のシカを傷つけないように、伸びた角を根元から切り落とす行事。今年も今月1日、獣医師や市の職員らがオス13頭の角切りをした。

 市などによると、園内の山の斜面を逃げるシカを平地に追い込み、獣医師が1頭ずつ注射で麻酔を投与。横たわったところで、角をノコギリで切ったという。ところが終了後、3頭が死に、2、3日にも計7頭が死んでいるのが確認された。

 1頭を解剖した結果、死因は麻酔を打つ時に興奮して出た唾液(だえき)が気管に入って起きる誤嚥(ごえん)性肺炎と判明。内臓にも損傷があり、麻酔で横たわっている間に別のシカに踏まれた可能性もある。現場にいた獣医師によると、角切り当日、作業場に追い込まれる段階からシカたちは興奮状態にあったという。

 県立とべ動物園(砥部町)でも、必要に応じて飼育しているシカの角切りを実施する。園は「麻酔の前に追い回さず、過度に興奮させないことに注意している」という。