【現地取材】技能五輪・カザン大会 「金」2個の日本、若き匠に“高き壁”
8連覇の重圧
8連覇がかかる重圧を見事はねのけたのは、「情報ネットワーク施工」の志水優太選手(きんでん)。ヤマ場はいきなり競技1日目に訪れた。課題の多さに戸惑い、うまく対応できなかった。「苦しかったが、指導員など“チームジャパン”に支えられた」と目に涙を浮かべながら振り返った。次は9連覇を目指す選手を支える番となる。志水選手は各国・地域の選手団ごとに最高得点者を表彰する「ベスト・オブ・ネーション」にも選ばれた。
「産業機械組立て」の坂元裕二郎選手(デンソー)は、この職種で日本初となる金メダルを手中に収めた。「(3位以内の選手として)名前が呼ばれた際は喜んだが、さらにうれしかったのは銀メダルで呼ばれなかった時だった」と笑みをこぼす。
劣勢を挽回して銀メダルをもぎ取ったのは「CNCフライス盤」の菊池優斗選手(日立ハイテクノロジーズ)。初日の課題で手こずったが、結果はトップの中国に次ぐ評価をたたき出した。「金メダルでないのは悔しい」と吐露しつつも、「集大成の思いが強かった。この経験を次の世代に伝えたい」と気持ちを新たにする。
チーム競技のメダリストは互いにたたえ合った。3人一組の「製造チームチャレンジ」は銀メダル。市川幹人選手(デンソー)は「良いメンバーで取れて良かった」と話す。「メカトロニクス」で銅メダルだった松本浩樹選手(同)は、「(2人一組の)この職種は人を信頼することが大事」と言い切る。
技能五輪国際大会は原則22歳以下の若手技能者が2年に1度、技能世界一を争う。カザン大会は史上最多の63カ国・地域から1300人以上が参加した。
今大会の金メダル総数のトップは前回大会に引き続き中国で16個を獲得。競技期間中は初日から中国選手の活躍が多く見られた。2位は開催国のロシアで、前回より倍以上の14個となった。中国と同じく全職種に出場し、底力を見せつけた。3位は韓国だった。この上位3カ国で今回授与された金メダルの半数以上を占めた。7位の日本は前回の9位を上回ったが、獲得数は減った。
