セリーナ・ウィリアムズ【写真:Getty Images】

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途中棄権で号泣も…セリーナは19歳の心配りに感謝

 女子テニスのロジャーズ・カップは11日(日本時間12日)、シングルス決勝で復帰後初Vを狙った元世界ランク1位セリーナ・ウィリアムズ(米国)は世界27位ビアンカ・アンドレースク(カナダ)と対戦。第1セット途中に背中の痛みにより途中棄権したが、感動的なシーンが生まれた。人目もはばからず、ベンチで号泣した37歳のセリーナに19歳のアンドレースクが歩み寄り、熱い抱擁。会場から拍手が沸き起こった。WTAが実際のシーンを公開し、感動が広がっていたが、試合後の会見でセリーナ自身が19歳に感謝を伝えている。

 復帰後初Vを狙った決勝は、セリーナにとってまさかの幕切れとなった。第4ゲームを1-3とリードを許して終えるとベンチに戻り、涙を流した。無念の途中棄権。思いが悔しさとなってあふれ出た。百戦錬磨の元女王が人目をはばからず、肩を揺らし、目元を押さえた。会場もいたたまれない空気に包まれる。そんな時だった。

 優勝が決まった19歳アンドレースクが立ち上がり、相手ベンチに向かった。そして、両手を広げ、セリーナにハグを求めたのだ。驚いた会場からどよめきが起こる。優しく抱擁を交わすとしゃがみ込み、手を握りながらセリーナと声を交わす。すると、元女王から笑みがこぼれた。しばし、健闘を称え合い、最後は立ち上がって再び、熱いハグを交わした。

 19歳が37歳の女王に対し、演じた感動的なスポーツマンシップ。会場からはこの日一番の拍手と歓声が降り注いだ。WTA公式インスタグラムが実際のシーンを公開し、海外ファンに感動が広がっていた。

 米放送局「CNN」はこの一連のシーンについて、「セリーナ・ウィリアムスが決勝を怪我のために去る、彼女を慰めたチャンピオンを称賛」と見出しを打ってレポート。両者の試合後の記者会見でのコメントを伝えている。

抱擁の際にアンドレースクがかけた言葉とは?

 記事によると、勝ったアンドレースクは「彼女が目に涙を浮かべていたので、私の目にも涙が浮かんできた」「彼女の気持ちが分かるので。怪我は本当に、本当に最悪」と話していたという。

 さらにハグを交わしていた際の2人のやりとりも明かしており、19歳はセリーナに対して、「あなたは……ビースト。立ち直るわ。キャリアと通じてあらゆることに対処してきた。再起のために、少し立ち止まるだけ」と励ましたという。

 一方でセリーナは、アンドレースクの行為に対しての感謝を口にしている。

「本当に悲しかった。彼女のおかげで大分気が楽になった。本当に素晴らしかった」「彼女は素晴らしい人格の持ち主」「彼女はたったの19歳。彼女の言葉やコート上、そして試合や態度から19歳とは思えない」などと19歳の心配りに賛辞を連発している。

 出産後初Vこそならなかったが、百戦錬磨のセリーナにとってもかけがえのない瞬間だったようだ。(THE ANSWER編集部)