「妻の座だけは絶対に譲りません」全てを与えられてきた15歳年下妻の報復
-上には上がいる。
それが、この東京という街の永遠に変わらない現実だ。
高価なバッグに高級外車など、同じものを持っていても、それを手にする過程には大きな違いがある。
やっとのことで手に入れた念願のものなのか、それとも数万円のものを買うかのごとくポンポンと手にしたものか。
前者と後者は似て非なるもので、そこには明確なコミュニティーの違いがある。
後者は、世帯年収3,000万以上なんて当たり前。東京の中でも頭一つ抜きん出て資産を保有する“ハイエンド・ゾーン”。
これまでに、育ちのコンプレックスに悩む玲子、日系私学受験組と一線を画すインターママの紗理奈、元グラドルの綾乃、地方の名士と結婚した美紗子などを紹介した。
【今週のハイエンド妻】
名前:麻理恵
年齢:37歳
夫の職業:飲食系経営者
夫の年収:5,000万
「すみません、道が混んでいて」
コンラッド東京の『トゥエンティエイト』に現れた麻理恵は黒レースの膝下丈ワンピースに、手元はダイヤが眩しいショパールの時計をつけて登場した。
この後、息子を塾に迎えに行く必要があるそうで、“迎えの時間までなら”という条件で話を伺った。
「私、専業主婦なんです。なので息子の送迎と家事が、日々の主な業務です」
田園調布に家を構え、夫と現在10歳になる息子と3人暮らし。海外にも頻繁に行っているようで、今年の夏も息子は海外のサマースクールに行く予定だという。
「私の周りでは、サマースクールはもはや当たり前。幼い頃からネイティブスピーカーのいる環境に慣れさせてあげることは、親としての責任かなと思います」
子供もスクスク育ち、正に“優雅な専業主婦ライフ”を送っている麻理恵。しかし何故だろうか。どこか物憂げな空気が漂っているのだ。
「私には、仕事が向いていない」。そう言い切る麻理恵と夫の出会いとは
「夫と結婚したのは、私が25歳の時。今からもう12年前になります」
その頃、車のショールームで受付嬢として働いていた麻理恵。そこに客として来ていた貴志が麻理恵に一目惚れし、熱烈にアプローチしてきたという。その強い押しに負けて付き合いが始まった。
「当時、私は25歳で、夫は40歳。かなりの年齢差ですが、実際付き合ってみたら全く気にならなくて。紳士的で優しくて素敵な人でした。その上、同年代とのデートでは行けないようなレストランにもたくさん連れて行ってくれて。だから、付き合って1年でプロポーズされた時も迷うことなく返事をしました」
こうして麻理恵は、26歳の時に彼とゴールインした。
貴志が2度目の結婚ということもあり、結婚式は身内だけを招いての質素なものだったが、新婚旅行は丸々1ヶ月間ヨーロッパを周遊し、それは豪華で夢のような時間だったそうだ。
「私は、結婚を機に会社を退職しました。元々好きでやっていた仕事ではないですし、私、働くということが向いていないんですよね。それに受付嬢は若ければ若い方が良いという無言の圧もありましたから・・・」
こうして、26歳で専業主婦となった麻理恵。そこから、一度も働いたことはない。
「息子も生まれましたし、息子と過ごす時間も大事にしたいので。今更外で働くなんて、考えられません」
当初、結婚生活は何もかもが順調だった。田園調布の広い家に、悠々自適な専業主婦生活。
“教育にはお金の糸目はつけない”という貴志の方針の下、息子は、有名私学に通い、先ほどのサマースクールしかり何不自由ない暮らしを与えられている。
それは息子だけではない。
麻理恵自身、ハイブランドに身を包み、海外旅行へ行ったら好きな物を買ってもらい、結婚してから、お金のことで悩んだことは一度もない。
むしろ、夫の年収がトータル幾らなのか分かっていないという。
「家族カードがあるので、生活費諸々は全てそこから支払っています。また欲しい物があったらその都度言いますが、20万円以下の物に関しては何も言いません。向こうも、幾ら私が使っているかなんて、気にも留めていないみたいですから」
自宅には、バーキンが数十個あり、1足10万円以上はする高級ブランドの靴がズラリと並んでいるという。
そして車は、麻理恵はカイエンを一台、夫は趣味のクラシックカーと、ゴルフへ行く用のアウディを所有しているそうだ。
「車は、子供の送迎に必要だから、という理由で買ってもらいました」
もはや“羨ましい”の言葉しか出てこないが、ここへ来て、麻理恵は急に黙りこくってしまった。
「でも、夫は今、ほとんど家に帰ってきていないんです」
愛する妻と息子を捨て、夫が選んだ女とは・・・?
お金がある故、夫が貢ぐ女の存在
麻理恵が夫の異変に気がついたのは、3年前のことだったという。
元々国内はもちろん国外への出張も多かった貴志だが、3年前から出張の頻度が激増した。
そして、2年前からはあからさまに帰宅が遅くなり、徐々に朝帰りも増えていったという。
「それでも、私は強く言うことができなくて。一度だけ問い詰めたら、“誰の金で暮らしているんだ”と言われ・・・それ以上、何も言えなくなってしまったんです」
そこから貴志は大人しくなるどころか、家に寄り付かなくなっていった。
「調べたところ、他の女のためにマンションを借りていて、そこにほぼ帰っているみたいですね・・・」
何度も自分を責めてみたが、どうしようもない。麻理恵はただ、一生懸命子育てをしていただけだ。
しかし、一つだけ思うことがあるという。
「もし夫に、そこまでの経済力がなかったら、その愛人は寄り付かなかったはず。そして、夫もそんな高級マンションを借りられなかったはず。そう思うと、複雑な気持ちです・・・」
夫が稼いでくれているから、今の暮らしがある。一方で、彼が高収入だからこそ外で遊ぶ機会も増え、お金目当ての女が寄ってくることにつながる。
今、麻理恵はそのジレンマにひどく苛まれている。
そして事態は更に悪化し、ついに半年前、夫から離婚話を持ちかけられたそうだ。
「“この家も車も全部あげるから、別れて欲しい”と言われました。私がどうしたかって?断固拒否ですよ」
たしかに、夫のお金で生きてきた。働きもせず、楽しく、不自由なく子育てができていたのは、全て貴志のお陰だ。
だが“離婚しない”ことが、浮気した夫と愛人への最大の報復だという。
「私は、妻であり、息子の母でもあります。浮気相手と、“結婚”はさせない。妻の座だけは、絶対に譲りません」
そしてもう一つ、麻理恵には思惑がある。
「遺産相続の際に息子以外の誰かに少しでも財産が持っていかれるなんて、考えられない。彼の遺産は、全て息子のもの。そこに変な女が介入するのは、虫酸が走ります」
年収が上がれば上がるほど、夫の浮気率は高くなると聞いたことがある。
桁違いに稼ぐ経営者達に群がる女性は多く、既婚者であってもお金と時間に余裕がある男性はモテる。
自分の暮らしがあるのは、高収入夫のお陰。しかしその分、浮気のリスクも上がる。
どちらを取った方が幸せなのかは、誰にも分からないのだ。
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