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パナソニック株式会社は2019年6月21日、自律搬送ロボット「HOSPI(ホスピー)」に関する技術セミナーを開催した。「HOSPI」はパナソニックが2013年10月から病院内自律搬送ロボットとして販売を開始したロボット。最大積載量は20kg。大きさは幅630mm、奥行き705mm、高さ1390mm。本体重量は170kg。連続運転時間は約7時間、充電時間は約2.5時間。

HOSPI概要

これまでに松下記念病院など国内4病院、海外1病院に、合計15台が導入されており、薬剤・検体を看護師・検査技師に変わって搬送している。

検体を搬送する

2019年5月には後方センサーや巡回機能など、機能を向上させた「新型HOSPI」を発売した。加えて、27型FHD LCDパネルを最大3面搭載できる「サイネージ搭載HOSPI」の受注を開始している。さらに2019年7月には搬送重量を最大60kgまで上げてコンテナやトレーを搭載できる「HOSPI Cargo」の受注開始を予定している。今回の技術セミナーはそれを踏まえたもの。

●病院内自律搬送ロボット「HOSPI」

パナソニック プロダクションエンジニアリング株式会社 新規事業センター ロボティクス事業推進部 部長 内山博之氏

技術説明はパナソニック プロダクションエンジニアリング株式会社 新規事業センター ロボティクス事業推進部 部長の内山博之氏が行った。パナソニック プロダクションエンジニアリングはパナソニック全社の生産技術ノウハウを融合したソリューションを提供している会社で、HOSPIは新規事業インキュベーションに属する。(https://www.panasonic.com/jp/company/ppe/hospi.html)

HOSPI。手前二台が新型

パナソニックでは1998年から自律移動ロボットの開発をスタート。2004年に原型となるHOSPIを病院内で走らせた。その後、屋外用清掃ロボットを愛知万博に出展したり、血液検体検査のための群制御ロボットなどの開発を経て、再び原点に帰り、パナソニック プロダクションエンジニアリングと松下記念病院と共同で開発を進め、2013年にHOSPIを商品化した。なお群制御ロボットも現在まだ使われているとのこと。

パナソニックHOSPIの開発経緯

HOSPIは病院内で動かすために安全性を第一と考えており、特に階段落下防止については、地図・床面検知・天井の可視光LED照明を使った3重の安全管理を行っている。導入から7年間、事故はない。

頭部上面のカメラとセンサーで位置情報を補強する

搬送庫もIDカードを使ったセキュリティロックで管理ができる。エレベーターや自動扉もネットワーク経由で動かし、自律移動ができる。自動充電ができるなど、運用性も高い。

HOSPIの主要機能

ロボットが行きたい方向に人が来た場合も、なめらかな回避行動をおこなう。ロボット同士のすれ違い、人混みのなかでの移動機能などを積み重ねて商品化に至った。

動く人ごみのなかでもスムーズに移動できる障害物回避機能

メインセンサーは前方の水平方向を見るレーザーセンサー。さらに両肩部にもレーザーセンサーがあり、側方を見る。階段などで落下しないように常にカメラで監視を行っている。病院内で検知が難しい、長椅子、片持ちテーブル、車椅子や歩行器、点滴棒も回避できる。自律移動ロボットで世界で初めて、ロボットの国際安全規格 ISO13482、ならびに一般財団法人 電気安全環境研究所(JET)が生活支援ロボットの安全性に関して発行したJIS規格「JIS B8445」および「JIS B 8446」の認証を取得している(リリース:https://news.panasonic.com/jp/press/data/2016/04/jn160421-1/jn160421-1.html)。これは自律移動ロボットとしては初の認証取得となった。

前方・側方・下方を4つのレーザーセンサーで走査する

複数台の運行管理ができる点もポイントだ。まずは工場内で検証を行って、その技術を使って複数ロボットを動かしている。統括コントローラーで病院内ネットワークを介して、複数ロボットを監視・運用している。

統括コントローラーが複数台のロボットを制御する

走行時の映像もレコーダーに記録しており、後ほど確認することができる。エレベーターや自動ドアは専用制御機器を使って操作する。

エレベーターや自動ドアは専用の制御機器を後付けすることで制御する

●初代「HOSPI」から新型へ。カーゴモデルも近日登場

初代から新型へ

初代HOSPI発売から6年経ったことから、今回のリニューアルとなった。病院内搬送だけでなく、側面にディスプレイをつけたサイネージモデル、カートを付けたカーゴモデルを発売する。自己位置を見失いやすい広いところでも照明位置を使って安全に走ることができる独自技術を用いる。

新型の概要

電池は従来の鉛蓄電池に代えてリチウムイオン電池を使用。従来に比べて充電時間を半減させた。モータートルクも1.5倍になった。センサー性能も上げ、確実に障害物検知ができるようになった。回路の処理速度も上げ、後方センサーもつけた。

新型の改良点

また従来は目的地を一つしか選べなかったが、複数のポイントを通過する巡回ができるようになった。

巡回走行もできるようになった

●移動サイネージの注目度は固定タイプの3倍

サイネージモデル。固定看板よりも3倍注目されやすいという

価格に関しては、サイネージタイプは本体一台と充電器のセットで1300万円程度を想定する。この他ネットワーク工事費用その他が別途必要となり、特に制御したいエレベーターや自動ドアの数によって変動するという。近日登場予定のカーゴは現状の3倍くらいの積載容量を持つことになるので、大きな医療器具も運べるのではないかと考えているという。

またオプションとして、警備に用いることができる遠隔操作機能、テレビ会議システムを搭載する遠隔コミュニケーション機能、人認識による顔振り向き機能をつけた。

3つのオプション機能を搭載可能

これまで、成田国際空港で移動型サイネージの実験などを行ってきた。固定サイネージに比べると注目度は3倍だという。6月に軽井沢で行われた「G20」では、本会議場で会議案内などを行い、各国大臣に技術をアピールした。

これからHOSPIは自律走行機能を使った展示会場での案内や、ドリンク搬送などの機能を検証する。ロボットの外見や、中の収納庫を変えることで様々な可能性があり得るのではないかと考えているという。

(森山 和道)