東工大の大岡山キャンパス本館

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 東京工業大学は企業向けの研修や講習、コンサルティングを手がける100%子会社を2019年度中に立ち上げる。設立から3年をめどに黒字化する計画。年収1000万円程度で社長を募集しており8日に締め切る。企業の人材育成やコンサルを通して研究成果の社会実装を進める。

 大岡山キャンパス(東京都目黒区)に新会社を設立する。新会社は学内の研究者と連携して、民間企業の研修やコンサルを担う。東工大は新会社が得た利益を配当などで受け取る。研究成果を知的財産として売るだけでなく、成果を使いこなす人材面でも収入の道が開ける。

 新会社の業務にはニーズ調査も含まれており、新社長は企業に営業しながら研修体系などを作っていくことになる。新会社の設立準備期間は特任専門員として大学に所属する。

 近年、大学も有望な成果は知財戦略を練るようになり、大学と企業の連携が実用化への近道になるようになっている。実用化に向けて技術開発と人材育成は切り離せないため、研究と教育の両方を一体的に進められると成功率が高まる。大学は子会社を通すことで収益化がしやすくなる。

 大学の研究室では新技術の基礎的な部分や、どの分野にも幅広く使える共通部分を具体化する。そのため企業は自社の事業分野や現場に合わせて大学の成果を改良し応用する必要があった。この応用研究を企業単独で担える場合は、大学の知財を回避できない限りは自社で技術を囲い込むことが多かった。

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