会っていて疲れを感じたりもやもやする人たちとは、どう付き合えばいいのでしょうか?(写真:kohei_hara/iStock)

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。


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大抵の方は、学生時代の知り合い、ご近所の人、子どもを通じての関わり、趣味や活動の仲間、習い事と、身近なコミュニティーの中に、親しさの差はあるものの、友人がいるかと思います。

そんな中で、特段なにかトラブルがあったというわけではないのに、会った後に疲労感を覚える、連絡が来るだけで憂鬱になる、何となく心がもやもやする、なんてことはないでしょうか。

知らず知らずのうちに受けているマウンティング行為

そんなときは、知らず知らずのうちに相手からマウンティングをされているのかもしれません。

例(1)相手の話を受け止めずに、自分のほうが楽に受診できるアピール
A「花粉症が始まったみたい。薬が欲しいけど、病院、待つから嫌だわ」
B「なに? 病院行くとき予約しないの?」
A「え? 予約はするけど、大抵時間どおりにいかないし」
B「私の通っているところ、わりと時間どおりで、そんなに待たされないよ。病院変えればいいのに」
A「……」

例(2)ケーキの話題から最新家電を買ったアピール
A「昨日、久しぶりにケーキ焼いたの」
B「あ、私も最近ケーキ焼くよ」
A「たまにやると楽しいよね」
B「ていうか、最新型のオーブン買ったらやる気が出た感じかな」
A「……」

例(3)うちのほうがひどいアピール
A「うちの子、ゲームばかりやっていて全然勉強しないの」
B「うちなんか、ゲームにだけでなく、YouTube漬けよ」
A「何度も言っているうちに嫌になる」
B「うちは、言うこと自体を諦めてるわ〜」
A「……」

共通している不快ポイントは、

こちらの話をきちんと受け止めない
全部、自分の話にすり替える
何かと自分のほうが優れている(もしくは劣っている)とマウンティング

さらに、これに嫌みが加わると、

A「この前、○○ホテルのランチに行ってきたの。平日だったからリーズナブルでよかったよ〜」

B「優雅だね。正社員だと平日無理だわ」

A「そうだよね。フルタイムだと、どうしても週末になるよね」

B「シフトで休めるのはうらやましいわ。カレンダーどおりの休みだと旅行とかも割高で本当困るわ〜。この前なんて料金、閑散期の倍だったよ」

こんな会話が続けば、別れた後は、どっと疲れてしまうと思います。

ひどいケンカをしたわけでもない、あからさまな嫌がらせでもないけれど、こうしたやり取りは、じわじわとダメージを長引かせます。

不快な感覚を無視せず、自分の捉え方がゆがんでいるのかなと思わず、相手との距離を取ったほうが無難です。

実は、友人関係の相談の中で多いのは、付き合いの中でストレスがたまり疲れてしまった、距離を置きたいが断るのも大変というものなのです。そして、「長い付き合いなので、今さら、疎遠にできない」や「嫌だけど、誘われると仕方なく出向いてしまう」という具合に、気持ちと行動が裏腹のまま、嫌々関係性を続けてしまうケースが多くみられます。

しかし、今までこうしてきたから断れないと思う必要はありません。時には断ってもよいですし、罪悪感を覚える必要はありません。

「1年生になったら、友達100人できるかな……」の歌に象徴されるように、友達が多いことがよいことのように錯覚しがちですが、無理をしてまで多くの友人と付き合うと疲弊するだけです。

接点が避けられない場合でも、自分のテリトリーをきっちり決めて、それ以上は付き合わないことが大切です。

「疎遠にしたら相手に悪いな」とか、「自分がさみしくなるかも」など複雑な感情が絡んで、やっぱりずるずると付き合ってしまうこともあると思いますので、選択の際のポイントをお伝えします。

相手との関りの中で、行かないで済む、会わないで済む、連絡を取らないで済む、というような「理由付け」「言い訳」を考えている時点で、心は拒否を示しています。

「○○しないで済む」のような方向に思考のエネルギーを傾けているかどうかが1つの指標となります。行きたい気持ちがあれば、あえて、行かなくてよい理由など考えようとは思いません。

楽しくないのに会う必要はなし

また、自分にゆとりがなかったり、環境や状況が変わると自分の価値観も変わり、今まで何でもなかったことが急に受け入れられなくなることもあります。その時々に応じて友人との付き合い方は変わるものなのです。

仕事上など、どうしても付き合わざるをえない場合を除き、思い切って縁を切ることも大切です。付き合い方を変えるという方法もあります。手放せば、新しいものが手に入るということもあるように、手放したことで新たな心地よい関係性と出会えるかもしれません。

身近な人間関係は、心身の不調にも大きく関わります。

特別な理由がないのに、なんだか気持ちがふさぐ、体調が思わしくないと感じている方は、身近な人間関係を見つめ直してみませんか。

もちろん人間同士、いつもいつもよい関係でいられるわけではありませんが、基本的には、

元気をもらえ、与えられる
楽しく笑い合える

お互いにプラスのエネルギー交換が生まれるような相手と友人関係を築いていきたいですね。