スマートフォンを画像検査装置として利用できる

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 ファインテック(東京都大田区、中川考一社長、03・5735・0888)は、スマートフォンによる画像検査を可能にする工場向けアプリケーション(応用ソフト)を開発した。製品の印字の欠けや位置ズレなどの画像処理を伴う合否検査ができる。使用済みスマホを再利用すれば、市販の画像検査装置の10分の1以下の価格で導入できる。スマホを工場設備の一部として利用できるようにするアプリは珍しいという。

 新アプリは「GAZOKEN(ガゾケン)」。米アップルの基本ソフト(OS)「iOS」向けに開発した。価格は9800円(消費税込み)。1回のダウンロードで5台まで使える。2万4800円(同)で別売りする専用の通信ユニットを使うことでプログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)と接続できる。初年度の売り上げは1億円を目指す。

 ガゾケンは手動によるカメラの焦点調整や2値化処理など一般的な画像検査装置の標準機能を備えた。検査工程で不良品が発生した場合は事前に設定したメールアドレスに自動で伝達できる。

 スマホが中央演算処理装置(CPU)や高精細カメラという画像検査に必要な機能を備えていることに着目し、開発した。利用者は機種変更などにより不要になった自前の使用済みスマホを再利用することで、画像検査装置を低コストで導入できる。

 中川社長は「今後もこれまでにない工場向けアプリの開発を進め、年10億円を売り上げる事業にしたい」と意気込む。同社は東京大学名誉教授の中川威雄会長が2000年に創業した。超精密金型の受託加工などを手がける。