決勝進出を決めた桃田【写真:Getty Images】

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難敵相手に完勝で決勝進出、3年ぶり優勝に王手

 バドミントンの国際大会「BWFワールドツアーファイナルズ」(中国、広州)は15日に各種目の準決勝を行い、男子シングルスの桃田賢斗(NTT東日本)は、2-0で孫完虎(ソン・ワンホ=韓国)を破って決勝進出を決めた。決勝戦では、石宇奇(シー・ユーチー=中国)と対戦し、3年ぶり2度目の優勝を目指す。

 桃田は、誰にも止められない。準決勝も完勝だった。大会には、種目ごとに世界選手権の優勝者と年間成績上位選手の8人が出場している。ハイレベルな争いだが、世界選手権覇者の桃田は、グループリーグを3戦全勝の1位で通過。準決勝の相手は、11月の香港オープンで敗れた孫完虎(ソン・ワンホ)だったが、技術戦の様相を呈したラリーで主導権を握り、まったく寄せ付けずに完勝した。香港オープンでは、疲労がピークを迎えて思うように動けなかったが、再戦できっちりと力の差を見せつけた。

 桃田は「相手がコートの四隅に精度の高いショットを打って来ていて、内容の濃いゲームだった。ただ、自分が主導権を握るというテーマは貫けたと思う。リーグ戦とは違って一発勝負になったので、出だしから少しスピードを上げていった」と冷静に試合を振り返った。

過去の対戦成績は3戦全勝、疲労度でのアドバンテージも

 決勝戦は、世界選手権の決勝戦と同じ顔合わせになった。世界ランク1位の桃田と、2位の石宇奇。過去の対戦成績は、桃田の3戦全勝だ。地元の観衆は、石宇奇の初勝利に期待をかけて声援を送るだろうが、「相手より、体力のアドバンテージはあると思う」と話した桃田は、跳ね返す準備はできている。

 相手は、準決勝を大激戦の末に制して疲労の影響が危惧されるが、桃田は、初戦から1ゲームも取られることなく、決勝まで駒を進めており、疲労感はない。得意のディフェンスで相手の出方をうかがいながら1ゲーム目を進め、第2ゲームからスピードを上げ、課題としている攻撃を仕掛けていくスタイルを、試合の中で磨くこともできている。

 直近の対戦は、9月の中国オープン。21-10、21-17と力を見せつけてストレートで勝っている。「あんなに簡単には勝てないと思うし、長い試合になると思う。タイトルのこととかは考えず、自分の持っている力をすべて出し切ることだけを考えて臨みたい」と謙虚に話したが、自信を胸に秘めている。日本代表に復帰し、世界王者となり、世界ランク1位となった2018年の締めくくり。ツアーファイナルズ優勝で有終の美を飾りたいところだ。(平野 貴也 / Takaya Hirano)