<連載>混浴女子とめぐる!ニッポン秘湯図鑑     第一回 金谷旅館 文・写真:蜜月檸檬

新たに始めるこの連載。混浴温泉に魅せられて全国の秘湯を巡っている私が、毎回ひとつの混浴温泉にスポットを当ててご紹介します。お風呂の雰囲気、女性視点の感想など、混浴温泉の魅力をお伝えできるような情報を発信していきますので、よろしくお願いします。

さて、第一回で紹介する温泉は...。

どこか幻想的な浴場に魅かれる

観光でも人気のある伊豆半島の下田(静岡県)に、東京から電車に乗って2時間30分ほどで行ける混浴温泉があります。

歴史ある木造建築が風情あふれる「金谷旅館」です。

「混浴って良いものだな」と思わせてくれた

混浴の温泉は、1000人入れるとも言われる大きな木造の「千人風呂」と、趣ある露天風呂に入ることができます。

混浴と聞くと、女性としては「入りづらい」とか「なんだかいかがわしそう」なんて感じて、あまり良い印象を持っていない方も多いかもしれません。

実は、私も以前はそう思っていました。

今回紹介する「金谷旅館」は、まだ混浴に入り始めたばかりの頃の私に「混浴って良いものだな」と思わせてくれた温泉です。

女性も安心して入ることができるように配慮されていて、美しく幻想的な浴室と上質な温泉を、他のお客さんたちと共有できる喜びを知ることができました。

レトロを感じる木造建築を丁寧に手入れがされていて美しさを感じる佇まい。

女性好みの古き良き老舗の旅館です。

歴史と美しさを感じる旅館の入口

雰囲気満点の混浴千人風呂

温泉も旅館の雰囲気そのままに、湯けむりと色香のような空気が包みます。一番の特徴は、女性が専用の脱衣所から鍵の付いた木の札を取って混浴温泉へ入ることです。

札は3つ。同時に3組の女性だけが混浴へ入ることができる仕組みです。なんだか昔の時代の秘めごとのようでちょっとワクワクしませんか?ちなみに、男性は誰でも自由に混浴へ入ることができます。

女性専用の脱衣所から混浴への入口を進むと木の扉があるので札に付いた鍵で開けて入ります。

扉を開けると目の前に広がる千人風呂。

ぼんやりと照らされた灯りに揺れる水面で湯船の広さを知ります。千人風呂は立って入るくらいの深さがあるので体のシルエットは見えません。天候にもよるようですが、湯気の量がかなりあるので、少し離れた人の顔も見えないくらいでしたよ。混浴は初めてで、ちょっと恥ずかしいという人でも安心して楽しめそう。

すごい広さの千人風呂の湯船

秘密の部屋のような露天風呂

千人風呂から続いて露天風呂へ行くことができます。

こちらも混浴です。旅館の建物に囲まれた箱庭のような空間の床一面にお湯が張られています。打たせ湯もある雰囲気満点の露天風呂は外なので顔が見えてご一緒したカップルと軽いおしゃべりも。

「金谷旅館」は女性や若いカップルにも人気なので、他の混浴より年齢層が低いかもしれません。

千人風呂から小さな扉を開けて露天風呂へ

歴史ある木造の混浴を大切に残している「金谷旅館」。鍵を開けてたどり着く、広くて深い千人風呂と隠し部屋のような露天風呂は、包容力と奥ゆかしさのある美しい混浴でした。

女性の私も魅了される混浴温泉。

温泉に癒されながら、偶然出会った方とおしゃべりしたり温泉の良さを一緒に味わえたりできることも混浴の魅力だと思います。男女関係なく入っているからちょっとドキドキもして、だからこそ話が弾むような気がします。

それがお互いの旅の一瞬の出会いだからこそキュンとする混浴。「裸の付き合い」という言葉がありますが、混浴に一緒に入っておしゃべりした方とは親戚のような親近感が湧くから不思議ですね。

筆者:蜜月檸檬(みつげつ・れもん)混浴温泉に魅せられて全国の秘湯をめぐっている混浴女子。ウェブサイト「混浴STYLE」を運営。混浴温泉情報を紹介しています。ライター、混浴温泉モデルも担当。混浴温泉でお会いした方とおしゃべりするのが好き。Instagram(@konyoku_style):Twitter(@konyoku_style)