首都大学東京の運営元である「公立大学法人 首都大学東京」が、小池百合子都知事の発言を受け、大学の名称変更に関する対応の検討を始めたと明らかにした。7月17日、公式サイトで発表した。

首都大は12日、東京都庁で開催された都政改革本部会議で、事業点検の状況や改革の方向性について都に報告。大学側の「学生から、大学名や知名度を改善してほしいという要望が最も高く46.1%に上る」という調査結果を受け、小池都知事が、

「認知度を高めるために、これから進めていくブランディング戦略の一つとして、大学名を変えるくらいの大胆な改革を、スピード感を持って取り組む必要があるのではないかと感じた」
「都立の大学であるということを都民の方々にわかりやすく発信をするために、かつてあった『東京都立大学』も一つの考え方としてあるが、いかがか」

とコメントしていた。首都大は名称検討について「状況が明らかになり次第、速やかに皆様にお知らせする」としている。

OB「馴染みのない校名は、同窓生の帰属意識、母校意識を阻害する決定的要因になっている」


首都大学東京は2003年、当時の都知事、石原慎太郎氏の肝いりで、「これまでの日本に無い『まったく新しい大学』」として開学した。それまで別個に存在していた東京都立大学、科学技術大学、保健科学大学、短期大学の4つを統合・移行し、2005年に一期生が入学。4学部を要する公立総合大学だ。

その際、全国から名称案を公募。4047件、828名称の応募があった中、最も多かったのは「都立総合大学」(110票)だったが、「大江戸大学」(33票)、「首都大学」(31票)など、他の案を含め総合的に検討した結果「首都大学東京」に落ち着いた経緯がある。

今回の検討は、小池都知事の発言がきっかけとなった形だが、都知事は大学の報告を受ける前から名称変更に前向きだったと見られる。

小池氏がかつて代表を務め、2017年の都議選で圧勝した都民ファーストの会のマニフェストには、行政改革関連の項目として「首都大学東京の名称を再検討し、都民に身近な大学へ改革」と記載されていた。キャリコネニュースでは昨年7月、この件について、現役学生やOBに聞いたところ、「出身大学がなくなるのは……」「首都大学東京って名前にはデメリットはあってもメリットはない」と意見が割れていた。

同窓会の事務局は当時、「名称変更の検討を歓迎します」と答えている。首都大学東京になる前の卒業生、都立大、科学技術大などの出身者にとっては、首都大の名称に「思い入れはまったくない」ため、「同窓会は、これまで校名変更を訴え続けてきた」という。

「馴染みのない校名は、同窓生の帰属意識、母校意識を阻害する決定的要因になっていると考えています。これを解決することで、同窓生一丸となって、大学を応援するという機運が生まれるはずです」

とも語っていた。