インターネット上にアップロードされた著作物を、許可なく複製(コピー)して自分のサイト上で表示する行為は、厳密には著作権侵害にあたります。アメリカでは無断利用の場合でも、「フェアユース」として認められれば違法性は阻却され利用OKとなっており、裁判所では4つの基準を設けてフェアユースにあたるかどうかを判断しています。

Court Rules Copying Photos Found on Internet is Fair Use

https://petapixel.com/2018/07/02/court-rules-copying-photos-found-on-internet-is-fair-use/

「インターネット上にアップロードされた写真を自分のブログで使わせてもらう」という行為は、著作権者の許諾を得ない限り著作権侵害にあたり違法です。そこで、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)では著作権者が認める使用方法を指定することで、インターネット上の著作物をインターネット上で適切に利用できるような仕組みが取り入れられています。

CCライセンスなどで著作権者が著作物の利用を認めていない場合、基本的にはインターネット上で他人の写真を利用することは許されていません。この例外としてアメリカ法では「フェアユース」が認められており、訴訟などで著作権侵害の有無が争われた場合、被告が抗弁としてフェアユースを持ち出すのがアメリカでは一般的です。

アメリカ著作権法はフェアユースにあたるかどうかの判断要素として、以下の4つの要件を定めています。

1.作品の利用目的と性格

2.著作物の性質

3.利用された作品の量や重要性

4.その利用行為が市場での作品の価値に与えた潜在的な影響度

この4要件に関して、裁判所がどのように事実認定し、どのような判断を下しているのかは、具体的な判例をみれば理解できます。

写真家のラッセル・ブラーマー氏がワシントンD.Cの夜景を撮影した写真を、北バージニア映画祭を紹介するウェブサイトで無断利用されたとして、サイト運営者のViolent Hues Productionsを著作権侵害で訴えていました。

これが無断で利用されたというブラーマー氏の作品。



Violent Huesのサイトでは、写真がトリミングされた状態で掲載されていました。



この事案で裁判所は「フェアユースにあたり、著作権侵害は成立していない」と判断しましたが、4要件については以下のように考えています。

・1について

まず、当該写真の利用形態において、写真を祭りの参加者など地域に関する情報提供用途の「informational」なものである。さらに、Violent Huesのサイトは非営利目的で、写真は製品の宣伝や収益をあげる目的で使われていなかった。

・2について

問題の写真は、露出、シャッタースピードなどクリエイティブな要素が含まれるのは事実だが、本質は実際の風景を描写したもの。「創造的なもの」というよりは「事実」に近いと言える。

・3について

Violent Huesは問題の写真を切り取って使用しており、写真の「事実的な意味」を伝えるという目的達成に必要な限度を超えて利用していない。

・4について

原告は問題の写真の利用料を受けたケースを6件証明しているが、そのうち少なくとも2件はViolent Huesの無断利用以降に発生している。ここからは、潜在的な市場価値に影響を及ぼしていないことが推測できる。また、Violent Huesは写真そのものを複製し販売することで収入を得ているわけではなく、潜在的な市場を奪い取ったとは言えない。

裁判所は4つの要件だけを判断するわけではなく、様々な事情についてもくみ取っています。具体的には、「ブラーマー氏が当該写真の著作権表示なしでの利用を認めていたケースがあったこと」「Violent Huesが、写真は一般公開されており許可なく利用できると信じていた根拠があること」「著作権侵害の指摘を受けて、すぐに写真を取り除くなど、真摯な対応をとっていたこと」などが考慮されています。

以上のような総合判断から、裁判所は本件ではフェアユースが成立するため著作権侵害にはあたらないと判断しています。

なお、裁判所の事実認定の方法や4要件の重要性判断などは各裁判所で異なり、考慮する要素もさまざまで、フェアユースの判断は「ケースバイケース」という側面があることは否めません。そのため、基本的には他人の著作物の無断利用はやめて許可を求める、CCライセンスの求める利用方法に従って利用することが大切です。