双日はANAHDとビジネスジェットチャーター手配事業で連携(藤本昌義双日社長(左))

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 大手商社の航空機事業が変わりつつある。航空機メーカーの販売代理店として事業をスタートしたが、メーカーが独自に日本市場へアプローチするようになり、徐々に役割が縮小。こうした中、双日は3月にANAホールディングスとビジネスジェットのチャーター手配会社を設立。他の商社ではリース事業から派生した中古機材や部品の売買を強化するなど、多角的かつ、複合的な事業にシフトしている。

ANAと提携
 双日はANAと組み、国際線から最終目的地までの乗り継ぎチャーター便や、日本から海外への直行便などの手配事業を展開する。ANAの路線ネットワークと法人営業の顧客網、双日のビジネスジェットのノウハウを活用する。

 他の商社がメーカーの代理店としてのビジネスを縮小する中、双日は米ボーイングの代理店としての収益が航空機事業の柱だ。その一方で2017年7月にビジネスジェットの販売事業会社を米国で設立。また、同年8月にはパラオの空港運営事業を受託するなど、航空機を主力事業の一つと位置付け、強化を図っている。山口幸一航空産業・交通プロジェクト本部長は「代理店の一本足打法ではなく、事業の柱を増やしていく」と話す。

事業モデル創出
 伊藤忠商事はリースと内装品製造が航空機事業の柱。15年には内装品の製造を手がける子会社のジャムコを通じ、ANAホールディングスなどと、航空機の整備を手がけるMROジャパンの設立に参画した。藤川寛航空宇宙部長は「ジャムコのノウハウを活用し、MROを通じて、新たなビジネスモデルを創出したい」と話す。

 丸紅は航空機の中でも、基幹となるエンジンのリース事業に11年に参入。その後も12年に部品トレーダーの米マジェラン・アビエーション・グループ、13年には航空機オペレーティングリース大手の米エアキャッスルに出資するなど、強化を図っている。

需要の波に乗る
 伊藤忠商事はカナダのボンバルディアや仏ATRの代理店となっていたこともあったが、現在は関係を解消している。ATRのクリスチャン・シェーラー最高経営責任者(CEO)は「日本にセールスチームがあり、充実している。直接顧客と話すことで、その声を開発やサービスに生かせる」と話す。

 丸紅も以前はブラジル、エンブラエルの代理店となっていたが、すでに契約を終了している。「代理店の口銭ビジネスでは事業の継続性があまりない」(岡崎徹航空・船舶本部副本部長)と話す。