深刻な人手不足倒産 2017年度は初めて100件超す

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 人手不足倒産が深刻化しているが、その実情を帝国データバンクが調査した。それによると、2017年度の「人手不足倒産」は114件と、4年連続で前年度を上回り、年度合計で初めて100件を超えた。増加幅も、2年連続で拡大し、2013年度比では2.5倍に増加した。

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 また、2013年度から2017年度までの5年間で発生した「人手不足倒産」は累計371件となった。

 「人手不足倒産」は、従業員の離職や採用難等により、人手を確保できず、収益が悪化したことなどを要因とする倒産(法的整理、負債1000万円以上、個人事業主を含む)と、同社は定義している。今回の調査は、2013〜17年度までの5年間の倒産について集計・分析した。

 調査のうち、負債規模別件数を見ると、2017年度は「1億円未満」が57件で、前年度比32.6%増、「1〜5億円未満」も50件発生し、同78.6%の大幅増加となった。

 業種別件数を見ると、2017年度は「建設業」が前年度比34.8%の増加で、最多の31件を占めた。このほか「製造業」「小売業」「運輸・通信業」などでも増加が目立ち、幅広い業種で倒産が増加傾向となった。また、5年間累計の業種細分類別では、「道路貨物運送」が26件で最多となっている。このうち、直近の2017年度は10件で、前年度比2倍増となった。次いで「木造建築工事」「老人福祉事業」がいずれも21件で並んだ。

 同社では、人手の確保が経営のボトルネックとなり、とりわけ人件費の上昇分を製品やサービス価格に転嫁しづらい小規模企業を中心に、引き続き人手不足倒産の増加が懸念される、と見ている。