悪い習慣を断捨離しておカネを貯めよう!(写真:naka / PIXTA)

しっかりおカネを貯められる人になりたい――そう願う人は、いったい何をすべきだろうか。意気込んで新しく貯蓄メソッドを始めるのではなく、当たり前のようにしている習慣を「やめる」ことからスタートしたほうがいい。主婦雑誌の編集者として多くの人の家計を取材してきた筆者は、貯まらない人の生活に、浪費トラップが無数にあるのを目にしてきた。


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自分がよかれと思って選択していることが、大事なおカネを減らしているかもしれない。悪い習慣を断捨離すれば、おカネは自然に手元に残るようになる。以下に挙げた15の習慣に心当たりがあれば、ぜひ「やめる」ことをお勧めしたい。

おカネを使うつもりはなかったのに…

1 毎日の「寄り道」をやめる

毎日、用事もないのについ立ち寄ってしまう場所はないだろうか。近所のコンビニ、カフェ、レンタルDVDショップ。女性ならドラッグストアや100円ショップなども多いかもしれない。特におカネを使うつもりはなかったのに、そこを出るときにはなぜか手に買い物したものを持っている。1日に使う金額はわずかでも、じわじわおカネを食っていく。寄り道グセがある人は、まず立ち寄る回数を減らすことから始めてみよう。

2 次回使える割引クーポンを受け取るのをやめる

飲食店のレジで代金を支払った際に、次回使える割引クーポンやワンドリンクチケットを渡されることがある。そこには有効期限が記載されているだろう。毎週訪れると決めている店ならよいが、そうでないなら受け取らないか、すぐに処分したほうがいい。受け取って財布にしまうと、有効期限間近になってそれに気づき、慌ててその店に向かいそうになるからだ。その日、本当に外食したい気分だったらいいのだが、クーポンのためだとしたら無用な出費だ。さらに、その日再びクーポンを受け取るはめになるかもしれないので要注意。

3 コーヒーのスタンプを集めるのをやめる

カフェに入った折、スタンプカードをお作りしますと言われることがあるだろう。ぜひとも通いたい店でないなら、断ったほうがいい。スタンプラリーを見ればわかるように、手元に中途半端にスタンプがあるとコンプリート意欲を刺激されるものだ。ほかにもっと安くて居心地がいいカフェができても、浮気できずに通ってしまう。スタンプが貯まれば貯まるほど、ほかの店を選ぶ選択はなくなってしまう。押してくれるスタンプはサービスではなく、「あと9回、うちにおカネを落としてくださいね」というサインだと思おう。

4 愚痴を聞くための飲み会をやめる

社会人たるもの、部下や後輩の愚痴を聞いてやるのが先輩の務め、と考えるのはわかる。しかし、お酒が入ると話が長くなるうえ、たいてい解決はしない。貴重な小遣いを使うのだから、酒はできれば楽しく飲みたい。もし愚痴を聞いてあげるなら、ランチに誘うほうがおカネも時間もだらだら使わずにすむだろう。

5 すぐにセットを注文するのをやめる

ファミレスやファストフード店に入ると、セットを頼みたくなるものだ。セットという言葉には、単品よりお得ですという意味を含んでいるからだろう。しかし、本当にそれが最安の選択とは限らない。ファミレスならメインとライスだけなら、ファストフードならハンバーガーとドリンクだけなら、といったん計算してみたほうがいい。それに、じっくりメニューを見込んでいるうちにもっと安くすむ単品があることに気づくかもしれないのだから。

6 ポイントが倍になる日に買うのをやめる

楽天市場のスーパーセールや、Yahoo!ショッピングの5のつく日キャンペーンなど、付与されるポイントがアップする日を狙って買い物をしている人もいるだろう、しかし、キャンペーンでつくポイントは、おおむね期間限定ポイントだ。期限が迫ってくると、〇日までに使わないと失効します、とご丁寧にPCやアプリに表示される。これで十中八九、今買わなくてもいいはずの買い物を無理やりしがちだったりする。ポイント失効のお知らせに振り回されないためには、ポイントアップキャンペーンはやり過ごすに限る。

レジ横で「ついで買い」

7 判断力が鈍っているタイミングで買うのはやめる

レジ横で「ついで買い」をしたことはないだろうか。特に買うつもりがなかったのに、レジ横に置いてある電池やらガムやらをつい手にしてしまう行動だ。

買い物とは元来、かなり頭を使う作業といえる。いるのかいらないのか、価格は適正か――そのジャッジが、買い物を続けているとどんどん面倒になる。だから、判断するのに疲れたレジ横ではつい余計なものを買ってしまうのだ。

昼間仕事で消耗しているビジネスパーソンは、深夜にネットで買い物しようとすると、これまたジャッジが甘くなりがちになるもの。夜はカートに入れるまでにして、翌朝頭がすっきりしたところで改めて判断するといいだろう。

8 今更やめたらもったいないと思う支払いをやめる

「今更やめたらもったいない」という発想は多くの人にあるものだ。多分うまくいかないだろうと誰もが思っていても、これまでつぎ込んだコストを無にはできないという理由で続けてしまう。毎週少しずつ部品が届くプラモデル、子どもがあまり乗り気でないピアノのお稽古、効果がイマイチはっきりしない健康サプリなど。今やめても、将来やめても、払ったおカネは戻ってはこない。もしこれが企業のプロジェクトだったら止められないが、家庭の支払いはいつでも止められるのだから、決断はお早めに。

9 「自分へのご褒美」という言い訳はやめる

女性に多いムダ出費の典型が「自分へのご褒美」だ。仕事に家事にと慌ただしく働いているのだから、たまの息抜きにおカネを使うことはまったく悪くない。しかし、こんな言い訳をするのは、どこかに罪悪感がある証拠でもある。これは使いすぎでは……という心の声に対し、でもいいよね?と押し切るための方便が「ご褒美」だからだ。どんな家計簿にも「自分へのご褒美」という項目は見たことがない。素直に、〇〇費と認め、そう記入しよう。

各家庭の支出の事情はまったく違う

10 平均貯蓄額と比べるのをやめる

どうしても気になるのが他人の貯蓄額。同じ年代・同じ収入でも、自分のほうが貯蓄額が少ないと、自分は世間一般よりおカネの管理が下手だというレッテルを張られた気になったりする。しかし、そんなことはない。各家庭の支出の事情はまったく違うからだ。

貯蓄ゼロはさすがに困るが、収入と支出の釣り合いが取れ、定期的に貯蓄ができていれば健全な家計だ。それを世間並みにしようと無理に貯蓄に回す金額を上げると、支出とのバランスが崩れて月々の収支が赤字に転落し、貯蓄から定期的に取り崩すという謎のフローになりかねない。平均値は片目をつぶって見る程度でいい。

11 高金利の預金を探すのをやめる 

マイナス金利の世の中だからこそ、ボーナス時のキャンペーン金利などでちょっといい金利をつける定期預金はまぶしい。地銀や信金のキャンペーンで年0.2%、0.3%という数字を見ると、おおっと思う。しかし、この高金利は新しいお客を集めたいときの金融機関の手段で、新規の預け入れが必要なことが多い。その都度新しい預金を作るか、いったん引き出して再度入金するかのどちらかだ。金利に惹かれてあちこちに細かい定期預金を作るより、元本を確実に増やしていくほうが効率よく貯まる。

12 ボーナスを給与口座に入れるのをやめる

年に2回のボーナスは、貯蓄の大事な原資のひとつ。これは日常のおカネではなく非日常のおカネなのだ。それを日常のおカネの入れ物である給与口座に入れたままにしておくと、だんだん日常化してしまい、なんとなく使ってしまう。いったん別口座に移して、非日常のままキープしよう。

13 オートチャージをやめる

交通系ICカードや電子マネーにオートチャージ設定をしている人は、現金での支払い以上に買い物をしている可能性大。コンビニや駅のスタンドでの少額の買い物に使うケースが多く、しかも自動でチャージしてくれるので、支払いの意識が弱くなる。また、その場でレシートをもらわないと、チャージ用のクレジットカード明細には金額しか記載されないため、ますます何のおカネだったか反省のしようもない。便利なサービスは自己管理と背中合わせにある。おカネの管理が面倒くさい人は、やめておいたほうがいい。

14 貯蓄型の保険に入るのはやめる

保険とは、万が一のときにおカネ(保険金)が受け取れるもの。その「万が一」がなくてもおカネが返ってくるとなれば、その分の原資は保険料に上乗せされている。しかも円建ての場合、この低金利下では相応の保険料を払ってもらわなければ、満期に戻す金額まで増やせない計算になる(だから保険会社は今、外貨建ての保険を全力でお勧めするのだが)。満期まで寝かせるデメリットをもっと考えたほうがいい。毎月かかる支払いにはシビアになるべき。

親世代のマネーリテラシーは昭和の認識のまま

15 おカネについてのアドバイスを親に聞くのはやめる

このところ、多くのマネー専門家からこの意見を聞く。親世代のマネーリテラシーは、残念ながら右肩上がりだった昭和の認識のままだ。家を買ってこそ一人前だし不動産は値上がりするもの、教育費を貯めるなら学資保険がベスト、我慢して定年まで働けば給料は上がっていく…これらは今も通用する常識とは言えない。ケンカになってもいけないので、おカネの相談は親ではなく現代のマネー知識を持つ相手にしたほうが平和だし、ためになるだろう。