練習試合で2安打の活躍を見せた高橋周平【写真:福谷佑介 】

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2度の対外試合では2戦連続安打、起亜戦では2打数2安打1打点1得点と1人気を吐く

 松坂大輔投手の加入により、例年以上に注目が集まっている中日ドラゴンズの沖縄・北谷キャンプ。連日、平成の怪物の一挙手一投足をメディアは追いかけ、それによって中日のメディア露出は、かなりのものとなっている。

 そのキャンプ、第3クール2日目の15日に、ファンを最も沸かせたのは、今季で7年目を迎える、長らく期待され続けてきた「未完の大砲」であった。

 高橋周平、24歳。

 この日、チームは韓国の起亜タイガースとの練習試合を行った。今季2度目の対外試合だった。高橋は6回の守備から途中出場だったが、そこから申し分ない働きを見せた。6点ビハインドで迎えた6回2死一、二塁で中前適時打。さらに先頭打者で迎えた9回には右翼線への二塁打を放ち、続く阿部寿樹の中前適時打で本塁へと生還した。2打数2安打1打点1得点。途中出場にも関わらず、この日チームが奪った全2得点に絡んだ。

 12日に行われた今季最初の対外試合・ハンファ戦でも3打数1安打だった高橋。2試合連続となる安打を放った起亜戦後も、ロングティー打撃などで汗を流すと、「結果が出るのはいいことですけど、やってきた練習を実戦で出せるようにやっています調子とかは今は関係ない。今は自分がアピールするだけ」と語った。

期待されながらも定位置を掴めぬままに6シーズンが経過した

 東海大甲府高校から2011年のドラフト1位で中日入りした高橋。高校生ナンバーワンスラッガーと称され、高校通算57本塁打を放ち、ルーキーイヤーから大きな期待を寄せられてきたが、プロ入り後は、期待に応えてきたとは言い難い。

 1年目から41試合に出場し、2本塁打を放ったものの、2年目以降も66試合(5本塁打)、61試合(6本塁打)、51試合(4本塁打)、75試合(4本塁打)、そして昨季は41試合(2本塁打)に終わり、レギュラー定着には至らず。昨季のルーキー京田陽太が遊撃手の定位置を不動のものとする一方で、三塁手のポジションを確保できなかった。

 昨季18本塁打を放った福田永将が三塁を守ることから、本格的に二塁手に挑戦。キャンプ2度の対外試合は共に二塁で出場している。「サードと違って動く範囲がありますし、カバーもある。大変ですけど、出られるチャンスがあるならどこでもやる。与えられたところをしっかりやっていきたいです」。戸惑いこそあれ、定位置を掴むチャンスと捉えて、必死にアピールしていくつもりでいる。

 この日の起亜後、報道陣から目についた選手を問われた森繁和監督は「みなさんが思っている人でしょう」とし、高橋の名を挙げた。「途中からいって、自分のスイングをできている。結果が出ると、本人も嬉しいでしょうし、我々も引き続き途中からにしろ、使っていく上で期待を持たせる選手だなと思います」と高く評価していた。

 期待され続け、はや6シーズンが経った。高橋周平の覚醒、本格化は長らく球団が、そしてドラゴンズファンが待ち望んできたものだと言える。7年目となる2018年。「準備とか今までやろうとしてきたことを継続してやろうと思っています。まだ始まったばかり。実戦はいっぱいありますし、成長しないといけないし、どんどんアピールしたいと思います」と語る「未完の大器」は、花開かせることは出来るだろうか。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)