クリスマスイブやクリスマスの日は「カップル入店禁止」――こんな看板を掲げた飲食店が東京都内にあると、ツイッター上で話題になっている。

店の入口付近には、「クリスマス期間の為(24日・25日は) カップル入店禁止」と太字で印刷された大きな看板が掲げられている。

「独身者に優しい店やん」「ひがみ100%だと思いますっ」

これは、東京都武蔵野市内のJR吉祥寺駅南口側にある丼専門店「吉祥寺どんぶり」だ。看板には、「金無し・暇無し・恋人無しの三無しスタッフが いつもより愛情多めで作っております」とも印刷されていた。


吉祥寺どんぶり前の看板(写真は、エヌ@enukichiiさん提供)

看板の写真は、店を訪れた「エヌ」さんが2017年12月19日に投稿した。「エヌ」さんは、この看板が気に入ったようで、「吉祥寺どんぶりに惚れ直してしまった」とつぶやいている。

このツイートは、大きな反響を呼び、12月21日夕現在で8万件以上もの「いいね」が付いている。好意的な受け止めは多いものの、冷めた見方も見られる。

吉祥寺どんぶりの店長は21日、Jタウンネットの取材に対し、4、5年前からやっているとし、始めた理由についてこう語った。

「せっかくクリスマスの時期に働いてくれるスタッフさんが楽しめるイベントが何か出来ないか? クリスマスにお客さんが我らが吉どんに求めてるものに応えたい! カップルさんにも自虐ネタとして面白いのでは? クリスマスに来てくれるお客さまに感謝を込めたい! ということです」

これまでにクレームはほとんどなく、喜んでくれる客が多いそうだ。

都内ではほかに、八王子市内のパスタ店「スパゲッティPiaPia」がクリスマスイブの日の「カップル入店禁止」を4年前から毎年行っている。

「カップルの方を差別するという気持ちは一切ない」

「スパゲッティPiaPia」は、スタッフブログで12月18日、社長が「今年もカップル禁止やる事にしました」との見出しで告知した。

掲げられた写真では、黄色い貼り紙に「お知らせ」として、男性が女性をお姫様抱っこするイラストが描かれ、その上に大きく「×」印が付けられている。カップル入店禁止の理由としては、「当店スタッフが思わぬダメージを受ける」と説明した。そして、クリスマスイブ当日の来店客には、転生先の異世界で使えるとした「賢者の覚醒カード」などをプレゼントするとしている。


写真は、スパゲッティPiaPiaのスタッフブログから

4年前に始めてから、「カップル差別だ」「くだらない事をやるな」というクレームが来たり、スタッフを集めにくくて大変だったりしたという。しかし、海外の人からも「今年はやるのですか?」と問い合わせメールが来たり、社長自らJR八王子駅前で「今年もカップル禁止楽しみにしてますね」と若者に声をかけられたりした。

楽しみにしている客がたくさんいることが分かったとして、迷った末にやることに決めたそうだ。「貼り紙を見た通りがかりの方にクスリと笑ってもらえれば、というだけです。思想や偏見、ましてやカップルの方を差別するという気持ちは一切ございません」と理解を求めている。

「スパゲッティPiaPia」の店長は21日、「ちょうど店のホームページができたとき、面白いことをして話題性で検索順位を上げたいと考え、1つのネタとして企画しました。昨年はかなりのお客さまが来られましたので、今年も同じぐらい来られるのではないかと思っています」と取材に話した。