ダルビッシュ有と田中将大【写真:Getty Images】

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米メディアが「10月にお金を得た、失った選手たち」特集、日本人右腕2人の評価は?

 米大リーグのポストシーズンはリーグ優勝決定シリーズが行われ、ナ・リーグはドジャースが29年ぶりに優勝。ア・リーグはヤンキースが王手をかけ、盛り上がりを見せている。米メディアは、来季の去就が注目される10選手について、“ポストリーズンで損した人、得した人”を特集。ヤンキース・田中将大投手、ドジャース・ダルビッシュ有投手を取り上げている。

「2017年MLBポストシーズン:この10月にお金を得た、失った選手たち」と特集したのは、米スポーツサイト「ブリーチャーリポート」だ。

 記事では「選手のこの短い期間での活躍ぶりはその者の収益力に計り知れない影響をもたらしうる」と記し、ポストシーズンでの活躍度が次の契約に及ぼす影響は大きいと紹介。その上で「株価が上がった」「株価変わらず」などと10選手を評価し、最初に登場したのがヤンキース・田中だ。

 今季終了後にフリーエージェント(FA)になれるオプトアウトを持つ右腕の権利行使の有無について、記事は「これはMLBのオフシーズンを覆う最大の謎の一つであり、水曜夜に彼がまた圧倒的なパフォーマンスを見せてからは避けられない論点となった」と指摘し、明確な評価を避ける「ワイルドカード」の一人に位置づけている。

シーズンスランプもポストシーズンで快投…“二面性”で評価困難に?

 その理由は“二面性”だ。シーズンはスランプがありながら、リーグ優勝決定シリーズ第5戦で7回無失点の快投。安定感がなかったレギュラーシーズン、右肘に違和感を抱えていた時期もあったことを指摘した上で「この事実を不問に付して巨大な給料を支払うに足るものだろうか?」と状態に疑問を投げかけた。

 その上で「これはポストシーズン終了後に彼が答えなければならない問いであり、この議論において彼を大きなワイルドカードたらしめているものだ」と締めくくり、レギュラーシーズンとポストシーズンのピッチングに現れる“二面性”が評価を難しくしているようだ。

 一方のドジャース・ダルビッシュは、カブスのジェイク・アリエッタとともに「株価変わらず」との評価を受けている。

 ともにレギュラーシーズン、ポストシーズンで優秀な成績を収めていることを認めながら、「しかし、ダルビッシュにとって活躍ぶりは問いにはならない。過去にプロレベルで2127回1/3を投げているという事実――日本時代を含めて――がこの冬、彼に大金を渡すことから各球団を遠ざけるかもしれない」と記し、勤続疲労を懸念している。

故障のリスクを懸念? ほかの「株価が上がった」「下がった」選手は…

 今季終了後にFAになる右腕に対し、アリエッタは1669投球回しかないことを比較。「10月の活躍ぶりにかかわらず、マーケット上の2人のベストアームを年俸から遠ざけるものは大きな負傷(歴)に他ならない」と故障のリスクについて指摘した。

 そのほか、「株価が上がった」はドジャースのトニー・ワトソン投手、ヤンキースのディディ・グレゴリウス内野手ら、「株価が下がった」は、カブスのジャスティン・ウィルソン投手、ロッキーズのジョナサン・ルクロイ捕手らの名前を挙げている。

 こうしてリストに挙がるのは田中、ダルビッシュは来季の去就が注目され、ポストシーズンでの投球に熱視線が注がれていることの裏返しでもある。

 田中はワールドシリーズに進出すれば、ダルビッシュ擁するドジャースと激突する。果たして、2人は再びポストシーズンで躍動するのか。注目は高まっている。