明治日本の鉄道遺産、碓氷峠の「めがね橋」を訪ねる - 【鉄道いまむかし】

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皆さんこんにちは。鉄道に関することについてお伝えする連載【鉄道いまむかし】。
お届けしたいのは鉄道ファンではなく、「ちょっと鉄道に興味があるけど、何となくマニアっぽい」「敷居が高いのではないか」と感じている方に向けて、気軽に鉄道を楽しむためのヒントをお伝えしていきたいと考えています。

第2回目は碓氷峠の「めがね橋」です。

軍艦島や三池炭鉱などが「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産に登録されたことを覚えている人もいるかもしれません。今回紹介する碓氷峠のレンガ橋群も、明治に作られた鉄道遺構として有名です。

碓氷峠を走っていた信越本線の横川−軽井沢間は、日本の鉄道の中でも勾配が1000分の66.7(1キロ走って66.7メートル上がる)というかなりの急勾配で、鉄道が渡る難所となっていました。信越本線の全線開業は明治26年(1893年)4月に開業しましたが、その際にここを渡る路線では「アプト式」という、電気機関車の台車に歯車を付け、レール側にも敷設されている歯とかみ合わせて上り下りする方式が採用されました。

信越本線の新線が開業する昭和38年までは実際に使われていた路線ですが、今ではその新線も北陸新幹線に置き換わってしまい、平成9年には廃止になっています。

まず紹介する「碓氷第三橋梁」、通称「めがね橋」は明治24年から命じ26年に書けて建設されましたが、レンガを約200万個も使うなど、碓氷峠にかかるレンガ橋の中でも最大のものとなっています。碓氷峠の旧道を軽井沢から車で20分程度走ると、その威容を見ることができます。

なおこのアーチ橋は、めがね橋から横川方向に向けて歩けるよう、「アプトの道」として遊歩道が整備されています。最初に上るのが一苦労ですが、是非歩いてみてほしい場所です。橋の上から地上を眺めると、こんなにも高い場所によく作ったものだと感じることができるでしょう。途中にあるトンネル内は夏でもひんやりと涼しく、避暑地に来た気分を味わうことができます。ちなみにこのアプトの道にある鉄道橋は国の重要文化財に指定されており、世界遺産への登録を目指しています。




横川に向けてある程度歩いてきたら、途中からは旧信越本線を走っている「トロッコ列車ライン」に乗って横川まで行くのもいいでしょう。途中には、碓氷峠が電化された際に合わせて明治45年に作られた「丸山変電所跡」を見ることができます。こちらもレンガ造りの立派な建物です。




トロッコ列車ラインの終着駅は「碓氷鉄道文化むら」という、横川駅近くに開設されている体験型鉄道テーマパークにあります。ここでは数多くの電気機関車、ディーゼル機関車が展示されており、実際にEF63という電気機関車を運転することもできるので、鉄道ファンなら是非とも訪ねてみたいスポットです。特に鉄道に興味がなくても、大きな電気機関車を見ているだけでも楽しくなってきますよ。なおここでは、「峠の釜めし」で有名な横川の「おぎのや」が作っている釜めし弁当も購入できます。




おぎのやといえばもう一つ押したいものがあります。それは同じくおぎのやが横川駅で営業している立ち食いそば。天ぷらそばの並か大盛りという選択しかないのですが、これがまた美味。釜飯もいいでしょうが、どちらかというとこの、立ち食いそばを是非食べてほしいです。

ところでこの碓氷鉄道文化むらですが、気軽に車両に触れられるのをいいことに、電気機関車から部品を盗むという行為が発覚しました。そこまでして手に入れたものを手元に置いて、何が楽しいのでしょうか。そういう人は鉄道ファンでも何でもありません。厳に慎むべきだと思います。




いよいよ夏も終わり、秋に向かけている今日。落ち着いた秋の軽井沢に訪れてみるのもよいでしょう。


今藤弘一