土星探査機カッシーニの「グランドフィナーレ」は9月15日20時55分。20年のミッション、大気圏突入で幕。
土星探査機カッシーニが、9月15日に土星へと突入します。9月15日といえば10年の節目を迎えたiPhone 8/ 8 Plusの予約開始日(iPhone Xの予約開始は10月27日)ですが、カッシーニはこの日、打ち上げから20年におよんだミッションを終えます。

カッシーニの土星大気圏突入は、日本時間9月15日の20時55分ごろの予定。これはNASA JPLの管制チームが電波受信を終える時間で土星からの信号到達ラグを加味しているため、実際にはその83分前、19時37分ごろには、カッシーニは消滅していることになります。

NASAは、カッシーニが消滅する数時間前から、これまでに蓄積してきたオンボードストレージ上の画像などのデータをすべてダウンロードする予定。そして、カッシーニは大気圏突入時に使用しないカメラなどの電源をオフにし、太陽系第2の大きさを誇る惑星の磁場や大気組成を知るためのセンサー類だけを走らせた状態にします。

そして土星大気圏突入の3時間前からは、センサーが検出するデータはすべて地上管制へ直接転送されるように設定を変更します。大気圏突入を開始してからもデータ送信は継続しますが、予想ではわずか1〜2分でデータが途絶え、それから数十秒後にはカッシーニには消滅するだろうとのこと。


突入時に送られてくるデータは、もしかするとすでに我々が知っていることを再び知らせてくれるだけかもしれません。それでも、少しでも精度の高いデータ、たとえば大気の水素とヘリウム混合比をより正確に知ることができれば、土星の生い立ちをより詳しくしるヒントになるかもしれないと、科学者は期待しています。

振り返れば、カッシーニは地球以外の星に生命が存在する可能性の常識を覆したと言えるかもしれません。NASAで惑星科学を研究するJim Green氏は「誰も人類が太陽系の外へ飛び出すことが不可能と思ったことはない。しかし、そこには太陽から遠く凍てついた世界しかなく、生命が存在するための液状の水は存在しないはずだった。しかし、45億年前から土星のすべての衛星に液体の水が存在するだろうことがわかり、その事実に私たちは興奮を覚えた」と語っています。

カッシーニが打ち上げからこれまでに旅した距離は79億km。土星に新たな6つの衛星を発見し、撮影した写真は45万3000枚におよびました。各種センサー類が収集した科学的データ総量は635GB。それらを元にして3948の科学論文が書かれています。20年間に送信・実行されたコマンドは250万を超えています。

ちなみに、NASAはNASA TVやYouTubeのNASA TVチャンネルなどでカッシーニの最終ミッション「Grand Finale」のまさに最終段階をライブ中継します。



また、国立天文台 OASESプロジェクトのTwitterアカウントによると、土星へ飛び込むカッシーニが最期に放つであろう光を、日本の地上から観測できる可能性があるとのことです。台風が接近する地域では天候的に厳しいかもしれないものの、その他の地域で必要な機材や環境と腕前を持っているアマチュア天文家なら、その様子をとらえられるかもしれません。



[Images : NASA, NASA/Reuters]