街を散歩中、ふと目を奪われたお店にフラッと入っていた――。誰しもそのような経験が一度はあるかと思いますが、魅力的な店舗では、私たちの心理に大きな影響を与えうる「色」について戦略的に考えているところが少なくないのです。

 集客だけでなく、回転率や商品購買数アップを通じて売り上げに貢献する「色彩効果」とはどのようなものでしょうか。オトナンサー編集部では、カラー&イメージコンサルタントの花岡ふみよさんに聞きました。

狙う販促効果によって異なる配色

 花岡さんによると、お店の内装や外装に適した配色は、そのお店がどのような販促効果を狙うのかによって異なります。

【回転率を上げたいファストフード店】

 低単価の商品を高い回転率で多く販売する必要があるファストフード店などには「赤」「オレンジ」などの暖色系がよく使用されます。「暖色系はエネルギーを消耗させる色で、時間を長く感じさせる効果があり、短時間でも『こんなに時間がたったのか』と勘違いさせられます」(花岡さん)。つまり回転率を上げるのに最適な色なのです。また、赤には食欲増進効果もあるため、購買数アップにもつながります。

【空間の快適さを重視するカフェ】

 空間の快適さを重視するカフェなどは「緑」「茶色」を基調にしているお店が多く見られます。「安らぎや穏やかさを与える緑と心を落ち着かせるイメージを持つ茶色は、空間にリラックス効果をもたらします。居心地を良くしてついつい長居をさせることで、もう一品購入させる戦略です」。また、最近では、野菜をメインにしているファストフード店が看板に緑を使い、野菜のフレッシュ感やヘルシーさをアピールしています。

【清潔感や衛生面を重視する美容院】

 美容院やネイルサロンなど、清潔感を重視し、衛生面でも信頼できるイメージで集客したいお店は「白」が合うとされます。清らかなイメージを持つ白は清潔な印象をアピールしたい空間作りにベストな色。ただし「白は人を緊張させる色でもあるため、空間すべてを白で統一せず、インテリアで差し色をしているお店も多いのです」。

【高級感を演出したいブランド店】

 顧客の優越感をくすぐり、満足感を満たす必要がある高級ブランド店や高級レストランは上品なイメージを与えることで、訪れる人の興味を引くことを第一に考えています。「高級感を演出し、気分を高揚させるのは『紫』『青』などの寒色系や『金』『銀』などのゴージャスな色。暖色でも『茶色』『ワインレッド』『ボルドー』などは、セレブな気分を味わえる空間の演出に最適です」。

 お店の売り上げや、訪れる人の気分に大きな影響を与える色使い。このような視点から、街にあふれる色に注目すると新しい発見があるかもしれません。

(オトナンサー編集部)