「マリオカート8 DELUX」は買いなのか。徹底的に遊んでみた

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2017年4月28日にNintendo Switch用のソフト『マリオカート8 DELUX』AmazonリンクDL版)が発売された。2014年5月29日に発売されたNintendo WiiU用のソフト『マリオカート8』の増補改訂版にあたる。


発売されてからしばらく遊んでみたが、感想を一言で表現するならば「不親切な最高傑作」というもの。ゲームとしては完成度が高く、初心者への間口を広げているが、不親切な部分がある。

DELUXで増えたもの


まずは、マリオカートシリーズについて知らない人のために、軽く説明を。マリオなどの任天堂キャラクターが、レーシングカートやバイクに乗り、レースをするゲームだ。普通のレースとは違う点に、多彩なアイテムがある。コース上にある「?」ブロックを取ると、自分が加速したり、前を走る相手を攻撃するアイテムに変化する。それらのアイテムを使ってライバルを妨害し、一位を目指すゲームだ。


『マリオカート8 DELUX』では、前作『マリオカート8』ではDLCとして提供されていたキャラクターが全部収録され、さらに新キャラクターを追加。コースも『8』のときのコース全てとDLCコースは最初から全て遊べ、なおかつ「バトルモード」専用のコースが追加されている。


最大の追加ポイントは、「ハンドルアシスト」「オートアクセル」機能だろう。

「ハンドルアシスト」をオンにしていると、コースアウトをしそうになると自動的にハンドルを切って落ちないようにしてくれる。この挙動も実にさりげなく、コースアウトしそうだったらゆるやかに減速をして、コース内へ戻してくれるのだ。もちろん、減速をしたぶん遅くなってしまうので、自分の操作に自信のある人は使わなくて良い。

「オートアクセル」は、アクセルを押しっぱなしにしなくても常にアクセルを踏んだ状態にしてくれる機能だ。特にこれは、ジャイロ機能をオンにして、コントローラを傾けて操作をするハンドルモードとの相性がいい。


これらの機能は、カートを選択する画面だけでなく、ゲーム中に「+」ボタンを押しても切り替え可能だ。

ハンドルアシストとオートアクセルによって、初心者でもかなり楽しめるようになった。マリオカートシリーズを大勢で遊ぶ時、ゲームに不慣れな人だといつの間にかコースアウトをしてしまったり、逆走してしまったりしてしまうことが多い。そうこうしているうちに、他のプレイヤーやCPUが次々とゴールをしてしまい、このゲームは面白くない! と投げ出してしまうのだ。それが、ハンドルアシストとオートアクセルによって、かなり解消された。初心者の間口を大きく広げる、素晴らしい機能だ。

もう一つの追加点である、バトルモードの新コースはバトルの面白さを一新させた。


バトルモードでは「ふうせんバトル」「パックンvsスパイ」「どっかん!ボムへい」「あつめてコイン」「いただきシャイン」といったゲームを行えるが、『8』では既存のコース(少しだけ障害物が増減していた)が中心だった。それが、専用にレイアウトされたコースで遊ぶだけで、同じルールでもかなり遊びやすく、楽しく進化している。正直な話、複数人で遊ぶ際にはレースよりもバトルで遊んでいる時間の方が長いぐらいだ。

さらに、アイテムの2個持ちや、三段目のドリフトダッシュとしての「ウルトラミニターボ」の導入(ハンドルアシストをオンにしていると使えない)、『8』で猛威を奮った「サンドリ」などのバグ技の削除などが行われている。

マリオカート8 DELUXの不親切な点


では一体、どこが不親切なのか。ひとつは、ボタンの操作を全て確認できないことだ。

レース中に「+」ボタンを押すとボタンの確認ができる。


ただし、これが全てではない。例えば「X」ボタンを押すと、自分の後ろを見る、バックミラー画面となる。


また、「B」ボタンはバックに入るので、アクセルを踏んでいるときに押すとブレーキとなる。最上クラスの200ccやバトルではブレーキは必須テクニックだ。『マリオカート8』付属のアクションガイドには記載されていたのに消えてしまった。


ふたつ目は、パラメーターなのがどういう意味なのか、確認できないものがあることだ。カートを選ぶ際に、「+」ボタンなどを押すと、現在の組み合わせではどういう状態なのかを表示できる。


ただし、それぞれがどういう意味なのかを確認することができない。シリーズをやりこんでいる人はわかるものの、初めて見るとどういう意味なのか把握できないだろう。ちなみに下記の通りの意味だ。

スピード:高いほど最高速度が速くなる
かそく:高いほど最高速度へ達する時間が短くなる
おもさ:高いほどカート同士のぶつかり合いで負けなくなる
まがりやすさ:高いほどハンドルの反応が良くなる
すべりにくさ:高いほど悪路に強くなる

また、キャラクターにはそれぞれ重さが設定されていて、同じセッティングのカートを使っていても軽量級はダッシュのスピードは早くてコーナーを曲がりやすいが最高速度が遅い。重量級はダッシュのスピードは遅くてコーナーを曲がりにくいが最高速度が速い。中量級はその中間。という特徴がある。

これも、42キャラクターから選ぶ際に確認することはできない。パラメーターの増減で判断するしかない。


「ヘルプ」にはバトルのルールやアイテムの効果が記載されているのだから、ここにキャラクターの紹介およびだいたいの重さがわかるようになっていたら良かった。

ちなみにヘルプ画面の「テクニック」には、ゲーム中には説明されないような細かいスピードアップテクニックが記載されているので、一度は全部に目を通すことをオススメしたい。



そして、これはSwitchのゲーム全般的に言えることかもしれないが、どのタイミングでどのボタンを押せばいいのかわかりにくいときがある。

というのも、SwitchはのコントローラーであるJoy-Conの持ち方によって、その時々に押すボタンが変わってしまうからだ。たとえば、「四つボタンの一番右端が決定ボタン」の場合、以下のパターンでこれだけの変化がある。

本体に装着、もしくはグリップに装着した場合(Aボタン)
Joy-Conの左を横持ち(三角ボタン(縦にしたときは「下」に相当))
Joy-Conの右を横持ち(Xボタン)

おかげで、Joy-Con使用時にはゲーム中の操作画面も四つボタンのうち、該当するものが黒く塗られる表記になっている。これが複数プレイヤーでさまざまなコントローラーの形態がある状態だと、最初は混乱してしまった。


基本的には、複数プレイヤーで遊ぶ場合、1コントローラーが基本的には進行役となり、メニュー操作等は全て1コントローラーが行う。それぞれのプレイヤーは自分のキャラクターを選んだりするときのみ、操作すると思うと混乱が減るだろう。

ただし、操作役が固定されてしまうために、一人で遊んでいるときに、プロコントローラーとハンドルを持ち替えたりしたいときには、接続し直さなければならない。コントローラーの接続設定は、ゲーム中でもキャラクター選択画面で「+」や「-」ボタンで行える。

全体的な満足度はかなり高い


以上のような、細かい不親切と感じる部分はあるものの、遊んでいるうちに慣れてしまった。ゲームとしての完成度は高く、一度始めたらいつの間にか時間が経ってしまうぐらいにはプレイし続けている。家に人を呼べないときでも、インターネットを通じて対戦できるのもうれしい。

強く思ったのは、Switchの画面の綺麗さだ。WiiUのゲームパッドに比べて高精細な画面で、いつでもどこでもマリオカートができるというのは、実に楽しい。ゼルダの伝説の際にも感じたが、家の中も含めてどこでも持ち運べるということは、ここまで楽しさを増幅してくれるのかと驚いている。

ハンドルアシストやオートアクセルのおかげで、初心者から上級者まで楽しめる、現時点でのシリーズ最高傑作だ。
(杉村 啓)