世界ランク11位の平野美宇【写真:Getty Images】

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「ジャパニーズ・センセーションが轟く」…17歳の急激進化の理由を公式サイトが分析

 卓球のアジア選手権で史上最年少優勝を果たし、世界に衝撃を与えた平野美宇(エリートアカデミー)。韓国オープンこそ準決勝で石川佳純(全農)に敗れたが、充実の春を過ごしている。次なる目標は、5月29日から行われる世界選手権(デュッセルドルフ)。アジア女王から世界女王を目指す日本の17歳に、国際卓球連盟(ITTF)も公式サイトで大きな注目を寄せている。

 ITTFの公式サイトは、こう見出しを打って、平野を特集した。

「ミウ・ヒラノは世界制覇に準備万端」

 世界ランク11位の日本の17歳を取り上げ、目下の躍進劇について注目。振り返っているのは、中国・無錫で行われたアジア選手権だ。「中国にとってはゾッとするような1週間だった」と完全アウェーで繰り広げた平野の躍進を表現し、このように称賛した。

「可愛らしく小柄で快活な日本のティーンエイジャーが正々堂々と彼らの領域に乗り込み、彼らがスポーツ界で最も大切に所有している卓球の王冠を奪ったのだ。今回のそれは、アジア大会タイトルだった。ミウ・ヒラノは彼らの領域で中国に打ち勝った。次から次へと」

 準々決勝ではリオデジャネイロ五輪金メダルの丁寧を皮切りに、世界ランク1、2、5位を連続撃破。5連覇中の中国勢の牙城を崩し、日本勢21年ぶりのアジア女王に君臨。その衝撃は10日たってなお、冷めないようだ。

「中国の体制をも破壊した」―なぜ平野は世界を驚かせる急成長を遂げたのか

「彼女は単に中国を倒したのではない。彼らの母国の地で倒したのだ。タイトルとともに、体制をも破壊したのだ」「17歳のジャパニーズ・センセーションが轟いている。現在、世界11位のミウ・ヒラノは2017年5月にトップ10に戻るはずだ」

 このように、平野が中国で成し遂げた出来事の大きさに賛辞を送り、来月に発表される世界ランクでは10位以内に返り咲くことを予測している。

 では、いったい、なぜ平野は世界を驚かせるほど急成長を遂げたのか。記事では、昨年の“武者修行”を要因に挙げている。

「ヒラノは昨年、中国スーパーリーグに出場した。最後の数か月、彼女が耐え抜いた激しいフィジカルトレーニングとともに、中国スーパーリーグは彼女の成長を促進させたことが分かる。結果は明らかだった。ヒラノは対戦相手の中国選手よりも実に速かった。滅多に見られない光景だ」

 このように進化を分析。決勝の世界ランク5位・陳夢との対戦後、敗れた中国代表の孔令輝ヘッドコーチは「陳夢はヒラノのサーブに苦労していた。ヒラノの強みに関して、我々は間違いなく研究しなければならない。我々のトップ選手たちをここまで連続で破ったということが、彼女の能力の高さを物語っている」と認めたという。

 生き馬の目を抜く本場・中国で鍛え上げた俊敏な動きで、いまや代名詞となった攻めの卓球を習得。それが、アジア女王に上り詰めた理由の一つにあるようだ。

世界選手権Vに太鼓判「殺りく兵器と化してデュッセルドルフを蹂躙する」

「本格的なビデオ分析会議が中国代表チーム本部で今まさに行われているに違いない」

 記事では、このように述べた上で「平野もまたその事実を理解している」と記し、5月にドイツ・デュッセルドルフで行われる世界選手権の優勝に期待を込めている。

「彼女はデュッセルドルフで、新たに彼女の水準を引き上げる何かを手にしなければならない。精神的、身体的、技術的、そして戦術的により強いヒラノが殺りく兵器と化してデュッセルドルフを蹂躙するのだ」

 アジア女王から世界女王へ。成長次第では、その可能性は十分にあるとみているようだ。そして、平野自身も優勝に向け、意気込みを語っている。

「シングルスと石川さんとのダブルスでメダルを狙っています」

 平野は韓国オープンを終えて帰国。世界選手権に向けて調整に入っている。ITTFも大きな注目を寄せている日本の17歳。アジア女王として挑むデュッセルドルフの地で、再び世界を驚かせるのか。そして、世界女王の称号を手に入れることはできるのか。期待は膨らむばかりだ。