ゴンザレスおじさん(@gonzarez_dh)さんのツイッターより(画像は一部、編集部加工)

大阪府和泉市父鬼町の山間部に設置されている看板が、2017年4月中旬から「ワクワクする」とツイッターで注目を集めている。

「不法投棄者を見つけ ★すみやかに通報し 抽選で沖縄旅行に行こう!! 通報するには車のナンバーあるいは携帯で写真を撮ろう」

調べてみると、父鬼町の町内会が2006年に掲げた看板だという。Jタウンネットは、看板を設置した当時の町内会長に、なぜこんな文言にしたのか、話を聞いてみた。

「効果は絶大でした」

元会長によると、看板の設置場所は和泉市と和歌山県の県境付近の山間部に位置する。山間部の国道480号沿いでは2006年当時、パソコンやタイヤ、仏壇など、ごみの不法投棄が横行していた。「車の通行も頻繁ではない」ため無法地帯と化し、「約4キロの間の、あちこちに」ごみの山が見られたという。

町内会も初めの頃は、トラックでごみを拾い上げていた。だが拾っては捨てられ、拾っては捨てられの繰り返しとなる。「いたちごっこ」を見るに見かね、「町会の予算でこのような看板を上げればいくらか減少するのではないか」と考えた。

元会長は看板設置の効果について、

「おかげで不法投棄は激減しました。効果は絶大でした」

と話す。

「今の町内会も、看板をなくさずそのままにしているそうです」

国道480号沿いでは今もなお、ほとんどごみのない状態が続いているという。

実際に不法投棄者を見つけたという通報は......

それにしてもなぜ、抽選で沖縄旅行をプレゼントすることにしたのか。

元会長は、「実際に沖縄旅行を当てた人は1人もいません」と明かす。それもそのはず、実際に不法投棄者を見つけたという通報がこの約10年間、1度もなかったのだ。

元会長は「これは心理作戦です」と言い、

「そらそうですよ。頭に鉢巻きして『こら、何しとるねん』と言いよったところで、『なにわれこんなことしとるねんボケ』と言われて終わりでしょう」

と説明する。

ごみの不法投棄を見つけ通報しても、当人に恨みを買うことは分かり切っている。誰も車のナンバーなど気に留めないかもしれないが、彼らを牽制する材料となるに違いない――。

町内会はそこまで見越した上で、看板の通報先に駐在所の電話番号を掲載し、毎年必ず、会の予算に沖縄旅行の資金を計上していた。元会長はあっけらかんとした口調で、

「初めから(予算を)使うこともないだろうと分かっていた」

と笑っていた。

町内会による不法投棄の取り締まりは、看板だけではなかった。現在も毎年のように、大阪府の予算で府鳳土木事務所に100〜200メートルのフェンスを設置する作業を依頼し続けているそうだ。