JR松井山手駅(Tam0031さん撮影、Wikimedia Commonsより)

北陸新幹線の京都‐大阪間のルート選定で、与党プロジェクトチームの検討委員会が2017年3月7日、JR学研都市線(片町線)の松井山手駅(京都府京田辺市)付近に中間駅を設置する「南回り」案で大筋合意に至った。「北回り」案を推進していたJR西日本の来島達夫社長も翌8日の会見で、「最善を尽くす」と大筋合意に理解を示した。

「まじで京田辺ルートになるんだ...」「え?松井山手に新幹線通るの?」。ツイッター上ではそんな驚きの声が上がったが......ちょっと待ってくれ。

「『松井山手駅』って、どこだ!?」。生まれも育ちも関西のJタウンネット記者が、そんな読者諸賢の疑問に応えよう。

乗り換え1回で京都・大阪・奈良に行ける


北陸新幹線(2015年2月撮影)

松井山手駅を通る学研都市線は、木津(京都府)〜京橋(大阪府)間を運行している。木津からはJR奈良線で京都駅、または関西本線で奈良駅、亀山駅(三重県)などへ行けるし、京橋でも大阪環状線や京阪本線など複数の路線に乗り換えられる。

国土交通省の発表によると、「南回り」案の特徴を

「北回りと比較し、走行距離はやや増加する(+約3キロ)ものの、所要時間は北回りとほぼ同等(+約30秒)である」

とし、松井山手に設置した中間駅を学研都市線と接続することで

「関西文化学術研究都市及び京都府南部地域へのアクセスが、既存の鉄道ネットワークとの接続等により改善されることで、これらの地域の街づくり、産業立地等が進む可能性がある」

という。松井山手駅を抱える京田辺市はそう、大阪府・京都府・奈良県の7市町とともに大学や研究機関、企業が集まる関西文化学術研究都市(別名:けいはんな学研都市)を形成している。

学研都市の中核施設「けいはんなプラザ」(相楽郡精華町)の周辺は、鉄道の駅が存在しない。そのため京都方面は近鉄京都線の新祝園駅、大阪方面は近鉄けいはんな線の学研奈良登美が丘駅など、それぞれ別の駅で降車してから、バスかタクシーに乗るのが「けいはんなプラザ」へ向かう最短手段だ。


「けいはんなプラザ」の公式サイトより

だが北陸新幹線が「南回り」になれば、松井山手で学研都市線に乗り換えて、祝園駅で降りるルートが生まれる。松井山手駅から祝園駅までは約25分。新幹線を降りて、すぐ「けいはんなプラザ」――とはいかないが、今までより移動は楽になるだろう。実際にツイッターでも、けいはんな学研都市へのアクセスに触れる声が上がっている。

松井山手駅近辺は、いわゆる「ベッドタウン」と化している。駅から区画を1、2つ外れると、住宅地が辺り一面に広がっており、駅前にはマクドナルドやスターバックスコーヒー、ケーズデンキ、スーパーマーケットなどが立地しているため、買い物程度で困ることはなさそうだ。学研都市線から乗り換え1、2回で京都や大阪、奈良へ行けるため、出勤や通学のアクセスにも便利な場所だろう。