声優・木村 昴&関 智一が語る、ジャイアンとスネ夫の“意外”な関係
ジャイアンとスネ夫――『ドラえもん』に欠かせない名コンビとして共演する、声優の木村 昴と関 智一。2005年のキャストリニューアルから今年で12年、最新作『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』でも、息の合った掛け合いで物語を盛り上げる。18歳差ながら、同じ事務所の先輩・後輩として仲が良く、素直で先輩思いの木村のコメントに、関がすかさず愛あるツッコミを入れて…と、笑いの絶えない対談となった。演じるふたりにしか語れない、ジャイアンとスネ夫の“ちょっと複雑な関係”にもご注目を!

撮影/平岩 享 取材・文/古俣千尋 制作/iD inc.



舞台は10万年前の南極。地球凍結の危機が訪れる!?



――シリーズ37作目となる『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』は、南極を舞台に大冒険を繰り広げる壮大なストーリー。伝説の古代都市が出てきたり、地球凍結の危機が訪れたりと、見応えたっぷりでしたね。



木村 のび太たちにとっても、南極は初上陸なんですよね。冒頭でみんなが“氷細工ごて”を使って氷の遊園地を作るシーンは、南極ならではという感じで、ワクワクしました!
 今回は距離的に遠くへ移動するだけじゃなくて、10万年をさかのぼるという縦軸の移動もあって、おもしろかったです。“偽ドラえもん”が出てくるシーンも見どころですよね。

――収録中の雰囲気はいかがでしたか?

 いつもより差し入れが豪華でした(笑)。
木村 そうそう! 何が違うって、お弁当やお菓子、お茶がいっぱいあるんですよ(笑)。収録もとてもスムーズでしたし、現場の僕らの雰囲気は変わらないんですけどね。
 話せるようなハプニングでもあったらよかったんですけど、本当にスムーズで……すいません(笑)。



――さすが2005年からのチームワークですね! 木村さんは、ジャイアン役に抜擢されたときは14歳でしたが、その頃と現在とで、何か意識は変わりましたか?

木村 先代の(ジャイアン役の)たてかべ和也さんから教わったことはずっと守って続けていますし、作品に挑む心持ちは変わっていないんですけど、あれから12年でちょっとずつ欲が出てきたというのかな。先輩たちを見て「もっとこうしてみたい」と思うことはありますね……関さん、僕、ちょっとはうまくなってきましたか?(笑)
 なった、なった。
木村 よかった! そういう「うまくなりたい」っていう欲は、出ていますね。いつも通りなんですけど、いつも通りじゃないことがしたいなと。



――ジャイアンを演じるうえで、大切にしていることはありますか?

木村 やっぱり、ジャイアンらしさですね。豪快にいきたいなと、いつも意識しています。

――関さんはスネ夫を演じるにあたって、いかがでしょうか?

 ずるく、ずるく、やっています。大人のずるさとは違う、子どもならではの見栄っ張りなところとか、負けずぎらいなところが出るようにしていますね。

――子どもの頃の気持ちを思い出しながら?

 いえ、思い出すまでもなく、自分の中に子どもの部分があるんですよね。身体や社会的な立場は大人になってしまいましたけど、気持ちは子どものままだったりするので。それも、純粋さというよりは、面倒くさがりなところとか…(笑)。

――たしかに、のび太やスネ夫を見ていると、すぐサボりたがったり、調子のいいことを言いたがったり…自分にもこういう部分あるなって思えますよね。

木村 そうなんですよね。スネ夫はとくに、共感できるところがありますよね。



ジャイアンが毎日楽しく、元気でいられる理由とは…



――『ドラえもん』の中ではいいコンビであり、声優としては同じ事務所の先輩・後輩である関さんと木村さん。そんなおふたりの関係についても、お聞きしていきたいと思います。まず、木村さん(ジャイアン)だからこそ見える、スネ夫のいいところって、どんなところですか。

木村 ジャイアンって目立つし、自分では人気者だと思っていますけど、そうやって明るく豪快でいられるのって、スネ夫がいるからこそなんです。以前、関さんがそんなことをおっしゃっているのを聞いて、僕もハッとしたんですよね。「野球しようぜ」って誘えば「うん、わかった」って……スネ夫が常にいうことを聞いてくれるからこそ、ジャイアンが毎日楽しく、元気でいられるんですよね。



――スネ夫がいいヤツに思えてきました(笑)。

木村 そういう魅力がやっぱり、スネ夫にありますね。それはプライベートでも同じで、関さんがいてくれたから今の木村がある、みたいなこともあって。
 (大きくうなずきながら)その通り!
木村 僕、関さんの言うことには何でも、従うようにしていますから(笑)。
 そうそう。あのファミコンソフトを持ってこいとか、焼きそばパン買ってこいとかね(笑)。




――プライベートでは関さんのほうが、何だかジャイアンっぽいような…(笑)。

木村 関さんの命令は絶対ですから! …っていうのは冗談ですが、スネ夫がワガママでいてくれるからこそ、劇場版でのジャイアンの「みんな頑張ろうぜ」みたいな、カッコいい一面が出たりするんですよね。

――とくに劇場版では「逃げよう」とか「怖いよ」と本音を言うスネ夫に対して、ジャイアンは「いや、頑張って戦うぞ」と、みんなをまとめるシーンもよくありますよね。

木村 そうなんです。スネ夫がネガティブなことを…いや、実はネガティブでもなくて、むしろ「逃げたい」っていうのはきっと誰もが思うことなんですよ。スネ夫がそれを言ってくれるからこそ、ドラマが生まれていくんです。

――なるほど。では関さん(スネ夫)から見たジャイアンの魅力は?

 魅力はやっぱり、ジャイアンのそばにくっついていれば安全だってことです。
木村 ハハハハッ!
 まさに“虎の威を借る狐”。深く理解し合っているというよりは、ジャイアンといたほうが得だから、そばにいるんだと思います。意見が通るジャイアンの後ろにいれば、より安全になるから。もちろん、それだけじゃないところもあるし、最終的には友達なんですけど、まずは“隠れていれば安全”っていう防衛手段なんですよ。

――そこはやっぱりずるいんですね(笑)。

 スネ夫はジャイアンを操っているぶん、ジャイアンよりもヒール(悪役)なんですよね。だから、もしも裁判になったら、教唆しているスネ夫のほうが、刑が重いはず(笑)。



スネ夫とジャイアンみたいな関係になれたら(笑)



――先ほど、今の木村さんがあるのは、関さんがいてくれたからこそだというお話がありましたが、先輩の関さんから見て、木村さんはどんな存在ですか?

 木村くんは子役からやってきている声優さんで、すごくしっかりしているんです。バイタリティもあるし、声優だけじゃなくいろんなことにチャレンジしたい年頃だと思うんだけど、飽きずに根気よく続けていて、後輩ですけど尊敬しています。
木村 うわぁ、ありがとうございます!
 それに、木村くんとはこれからもずっといっしょにやっていくからね。先代の『ドラえもん』の先輩たちが仲良くやっていた話を聞いているし、僕らも仲良くしていきたいなと思っています。




――『ドラえもん』はこれからもずっと続いていく作品ですもんね。

 そうですね。出会った当初は僕のほうが声優として長くやっていたわけだけど、今まさに、木村くんは一生懸命仕事の幅を広げているところだと思うから、これからさらに頑張ってもらいたいですね。僕はこれから年取っていくから、あとは木村くんにくっついて……というか後ろから操縦して、スネ夫とジャイアンみたいな関係性が作れていけたらいいなあと(笑)。
木村 まかせてください。これはたとえ話ですけど、もし関さんが車椅子になっても、収録の出番のときには、マイクの前まで押していきますから!
 え、車椅子に「乗っても」じゃなくて? 俺が車椅子になったら、大ニュースになっちゃうよ。



木村 あっ、そうか!(笑)
 それと、収録の日はクルマで家まで迎えに来てほしいね。ちゃんと、車椅子ごと乗れるクルマでお願いね。
木村 わかりました。関さんにお願いされたので、僕これから絶対免許取りますよ。
 うん。助かるわ(笑)。
木村 やります、やります!



スタジオにいながら大冒険ができる…それが声優の魅力



――おふたりの関係性が見えてきたところで、改めて、声優のお仕事の魅力について教えてください。

 たとえば『南極大冒険』という映画だったら、本当は南極ロケに行かなくちゃならないじゃないですか。でも声優なら、それが都内のスタジオでできるし、私服でできる(笑)。作品の中で、どんなところにでも冒険に行けるんです。

――時代も場所も、自在に超えられますね。

 そういう意味では、のび太くんの家にいながらいろんなところでいろんな冒険ができる、ドラえもんの世界と近いですよね。だから、僕らにとっての収録スタジオって、ドラえもんの秘密道具みたい。大冒険が、毎週お手軽にできる!
木村 先代の(スネ夫役の)肝付兼太さんがおっしゃっていたんですけど、「声優は身体が動くかぎりできるお仕事だから、結果を急がず、ずっと続けていればいいんだ」って。そういうお仕事って素敵だなと思いますし、僕も身体が動く限りは、やり続けたいなって思っています。



――最後に、もし、ドラえもんのタイムマシンがあったら、行ってみたい時代はありますか?

 歴史上の人物とか、実際に見られなかったものを見たいなっていうのはありますね。自分で行かなくても、誰かが代表して撮影してきて、それを上映してくれるだけでもおもしろいと思うな。「今日は、新撰組の討ち入りを上映します」みたいに。
木村 それ、いいですね! 僕は、未来に興味があります。自分の子どもや孫を見てみたい。もう、先に見ちゃいたいんです。そうすれば、奥さん選びが楽だなって(笑)。



【プロフィール】
木村 昴(きむら・すばる)/6月29日生まれ。ドイツ・ライプツィヒ出身。O型。日本語、英語、ドイツ語を話す。2002年にミュージカル『アニー』に出演しキャリアをスタート。2005年4月より、『ドラえもん』にてジャイアンこと剛田 武の声を担当。アニメ『輪るピングドラム』(高倉冠葉)、『ハイキュー!!』(天童 覚)をはじめとした数々の役のほか、NHK教育テレビ『ドイツ語講座』、NHK『探検バクモン』のナレーションも務めた。2009年より天才劇団バカバッカを旗揚げし、座長を務めている。
【Twitter】@GiantSUBAru

関 智一(せき・ともかず)/9月8日生まれ。東京都出身。AB型。2005年4月より、『ドラえもん』にて骨川スネ夫の声を担当。アニメ『妖怪ウォッチ』(ウィスパー)、『のだめカンタービレ』(千秋真一)、『ONE PIECE FILM GOLD』(ルッチ)など多くの作品に出演。ラジオパーソナリティとして、『ユニゾン!』など数々の番組で活躍。舞台俳優としても活動し、20年以上にわたり劇団ヘロヘロQカムパニーを主宰している。
【Twitter】@seki0908


■「映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」
大ヒット公開中!
http://doraeiga.com/2017/

原作:藤子・F・不二雄
監督・脚本・演出:高橋敦史

<キャスト>
ドラえもん:水田わさび のび太:大原めぐみ
しずか:かかずゆみ ジャイアン:木村 昴 スネ夫:関 智一

主題歌:平井堅「僕の心をつくってよ」(アリオラジャパン)
© 藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2017

■STORY
真夏の暑さに耐えかねたのび太たちが向かったのは、南太平洋に浮かぶ巨大な氷山。ひみつ道具「氷細工ごて」で遊園地を作っていたのび太たちは、氷漬けになっている不思議なリングを見つける。調べてみたところ、そのリングが埋まっていた氷は、人が住んでいるはずもない10万年前の南極のものだった。南極へと向かうドラえもんたち。その前に、氷の下に閉ざされた巨大な都市遺跡が姿を現す―。


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今回インタビューさせていただいた、木村 昴さん&関 智一さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

■応募方法:ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT


■受付期間:2017年3月7日(火)12:00〜3月13日(月)12:00

■当選者確定フロー
・当選者発表日/3月14日(火)
・当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、発送先のご連絡 (個人情報の安全な受け渡し)のため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
・当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから3月14日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただきます。3月17日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。

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