銀河といえば、その中心に存在する巨大ブラックホール。私達の太陽系が存在する銀河系の中心にも、超巨大なブラックホールがいて座の中心部(いて座A*)に存在すると推測されています。そしてチリのアタカマ砂漠にあるアルマ望遠鏡の観測により、ブラックホールからの高速ジェットが実は星の誕生を促進させていたと報告されているんです。
 
ケンブリッジ大学などの国際研究チームは、ほうおう座の方向にある「ほうおう座銀河団」を観測。その中心には超巨大ブラックホールがあり、高速ジェットを双極に吹き出しています。そしてこの双極ジェットがつくりだす「泡」の側面に低温の分子ガスが分布していることを観測したのです。
 
従来、ブラックホールは高速ジェットの放出によって星の材料を吹き飛ばし、星の誕生を抑えるものと考えられていました。また高速ジェットがつくりだす「泡」はあまりにも高温なため、星の材料になならないと推測されていたのです。
 
今回観測されたような活発な活動をする「活動銀河核」で、 ブラックホールが従来とは逆の「星をつくりだす働きをしていた」ことが判明したのは、研究者にとって驚きでした。今後はさらにブラックホールの観測を継続することで、ブラックホールと星の誕生、あるいは銀河との関係の解明が進められると期待されています。
 
Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO) H. Russell, et al.; NASA/ESA Hubble; NASA/CXC/MIT/M. McDonald et al.; B. Saxton (NRAO/AUI/NSF)
■2017年2月15日 超巨大ブラックホール・ジェットが星の誕生を促す
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2017/0215post_697.html?utm_source=rss&utm_medium=rss