日中関係の政治的な冷え込みや歴史的な問題から、日本の一切のものを排斥せよと訴える「愛国者」が中国国内にいる。一方で、品質の良さなどから日本製品を好んで利用したり、日本のマンガやアニメを愛する人もいる。彼らはしばしば「愛国者」たちから「売国奴」などと罵られるのである。(イメージ写真提供:123RF) 

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 日中関係の政治的な冷え込みや歴史的な問題から、日本の一切のものを排斥せよと訴える「愛国者」が中国国内にいる。一方で、品質の良さなどから日本製品を好んで利用したり、日本のマンガやアニメを愛する人もいる。彼らはしばしば「愛国者」たちから「売国奴」などと罵られるのである。

 中国メディア・環球日報は16日、中国版ツイッター・微博(ウェイボー)上で、「彼らは日本を愛しているが、日本に対して謝罪をさせた」とする記事を掲載した。

 記事は、先日リリースされた中国でも人気のゲーム「龍が如く6」で、香港や台湾から正規版を取り寄せた中国大陸のユーザーがゲーム中の表記に「驚きの誤り」を見つけたと紹介。主人公の桐生一馬が台湾と日本の混血女性と会話するシーンで台湾を「国」とするセリフがあったとした。

 この件について、香港や台湾のメディアは茶化すように報じたが、大陸のユーザーたちは冷静さを保ち、本ゲームを発売したセガに対して「台湾を『国』と称することは、いらぬ争議を呼び起こす。御社にも悪い影響を及ぼすことになります」と言った内容のメールを送ったと伝えた。そして、セガが直ちに対応してセリフを変更する修正パッチを配布するとともに、同ゲームのプロデューサー・佐藤大輔氏が謝罪のコメントを発表したと紹介した。

 記事は、「日本の流行文化を愛するか、日本のモノを愛しているかどうかは、愛国心を測る基準にはならない。荒唐無稽だ」、「真に祖国を愛する若者は、たとえ日本のアニメ・ゲームの熱烈なファンであっても、政治的原則という問題の前では自国の主権と民族の尊厳を守るのである。そして、腰抜けな人はたとえ日本に興味がなくても主権や民族の尊厳にかかわるようなことでも、中国の一切を嘲笑するのだ」と論じている。

 この記事に、中国国内の日本アニメ・ゲームファンは大いに歓喜したことだろう。一方で、少しでも日本に関わると問答無用で罵声を浴びせかけてきた「愛国者」たちは、どんな感情を抱いただろうか。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)