常子、おしゃれおばちゃまと呼ばれる「とと姉ちゃん」117話

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連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第20週「常子、商品テストを始める」第118話 8月18日(木)放送より。 
脚本:西田征史 演出:藤並英樹 堀内裕介


今日から、再放送中の朝ドラ「てるてる家族」(2003年/NHK大阪/原作:なかにし礼「てるてる坊主の照子さん」/脚本:大森寿美男)レビューをはじめます。

昭和(1950〜70年代)の大阪でパン屋を営む夫婦(浅野ゆう子、岸谷五朗)と4人姉妹(紺野まひる、上原多香子、石原ひとみ、上野樹里)の明るく楽しくバイタリティーあふれる日々を描く。
112回では、「シン・ゴジラ」のカヨコ・アン・パタースン役で注目される石原さとみ演じる四女・冬子が学校卒業後、宝塚歌劇団入団を控え、レッスンに励んでいる。パン屋で働く、冬子の初恋の人・和人(錦戸亮)も就職活動をしているが、なかなか就職が決まらない。未来に向かおうとしながら、ちょっとくすぶり気味の若者たち。

このドラマの何が凄いってミュージカル調であること。登場人物がしょっちゅう歌ったり踊ったりしはじめる。凝っていて楽しいが、稽古が大変だろうなあといつも思いながら観ている。でも、歌ったり踊ったりすることで、昭和の大阪の民衆たちの桁外れの元気さがストレートに伝わってくるのだ。スタジオ撮影がデフォルトな分、舞台劇ふうにして単調さが回避される。これ1回きりの飛び道具的演出ではあるが、その一試合完全燃焼
感は賞賛に値する。

112回は、冬子から秋子(上野樹里)に乗り換えたらしい浪利(杉浦太陽)が、「ラブミーテンダー」にあわせて舞台照明みたいなものを浴びながら自分語りし、それを上野樹里が「ナンセンス」とカメラ目線で呆れ顔。なんて楽しいドラマなんだ! 

というのは冗談で、「とと姉ちゃん」レビュー「ほとほと姉ちゃん」を続けます。

常子のお仕事問題


「出来上がったあなたの暮しを読んでこんなに苦い気持ちになったことはないよ。毎号我々は戦ってきたじゃないか、いっさいの妥協も許さず。だのに、こんな生温い記事を載せることになるなんて(中略)。読者にありのまま真実を伝えよう(後略)」(花山/唐沢寿明)

「あなたの暮し」35号では、庶民に役立つ商品試験を実施、1ヶ月かけて石鹸試験した結果、最大手の石鹸の評価が低く無名のほうが高いことが判明。ところが、試験を依頼した民間の検査機関が結果を公表しないでくれと言い出したため、メーカー名を伏せた記事にせざるを得なくなってしまった。

問題勃発から発売日まで数日。よっぽど切迫していたんだな、締め切り。
同業者としては、せっかくの大事な企画の第1回めがハンパなものになるなら、別の記事に差し替えるが、そうする時間ももうなかったのだろう。だって数日後だもの。

でもこれじゃあ、また、元・梢、今・康恵(佐藤仁美)に「新鮮みがなくなってきてるからねえ」的な小姑トークをドヤ顔でされちゃいますよ。

さすが花山、こんな事で終わらない。自分たちだけで商品試験をすると言い出す。懸念事項は多々あるが、
社内の皆もリスクを追ってでもなんとかしようと考える。頑張ってほしい。

常子のプライベート問題


「どのような服が幼児に可愛らしい服として認知されているのか僕には理解不可能で」(星野/坂口健太郎)。

娘・青葉の新しい服を買うため、星野が常子に聞きに来た。
青葉は常子のことを「おしゃれおばちゃま」と呼んですっかりなついている。
常子が衣服情報を探そうと手帖をくっているときに、家族は元気か? と質問する星野。調べて終わってから聞くという気が利かないのが星野らしい。前述の堅苦しい言葉遣いも星野らしい。
15年経っても変わってない星野。変わっているのは、結婚して子どもがいること。

「青柳商店の皆さんや森田屋の皆さんは?」と聞かれた常子が、星野を森田屋に連れていく。
再会を喜ぶみんな。15年の時を超えて、しかも戦争という大きな転換期を経ての再会は格別だろう。
純粋な喜び、お互いの変化に対する微妙な気遣い・・・などなどが笑顔の中に混ざっていた。

今日の ほとほと姉ちゃん


青柳商店の人たちはここまで一切何も語られないってことは、スペシャルな再登場が予定されているのではないだろうか。
(木俣冬)