放映局を主人公が否定した「ヤッさん〜築地発!おいしい事件簿〜」4話

写真拡大

「ヤッさん〜築地発!おいしい事件簿〜」(テレビ東京系)第4話が放送された。今話の隠れ名シーンは、はし田のおやっさん(里見浩太朗)がタカオ(柄本佑)とミサキ(山本舞香)にパンケーキを奢ったところ。おやっさんは全てをわかっていたのだ。


TVチャンピオン。手先が器用王、パチプロ王、日曜大工王など、様々なジャンルのニッチなチャンピオンを決めるテレビ東京史に残る伝説的素人参加型バラエティ番組だ。あのさかなクンも実はこの番組の出身であり、魚通選手権で5連覇を達成したことでその名を広めている。

中でも目玉企画になっていたのは大食い王選手権だ。ギャル曽根、ジャイアント白田など過去のレジェンド的フードファイターを輩出しており、今テレビにひっぱりだこのもえのあずき、MAX鈴木、桝渕祥与など大食い新世代達もここが出身だ。

そんな今でも年に数回の特別番組を放送しているTVチャンピオン。あろうことかヤッさんはこのテレビ東京の看板番組が“でぇっきれぇ”だという。

ディスってしまう


タカオは、ひょんなとこから出会った移動寿司屋「ワールドSUSHI」の店主の淳平(中尾明慶)の手伝いをすることになる。フリッターにして揚げたもの、ハラペーニョを使ったもの、バナナとマンゴーを使ったものなど、その寿司屋は変りダネ寿司を取り扱った店だった。

しかし、そんな変わり寿司を扱っていた順平は、実は築地の老舗「福寿司」の三代目だった。二代目である親父(北見敏之)は江戸前寿司の伝統を重んじる頑固な職人で軍艦巻きさえも握らない。親父と淳平は親子喧嘩の真っ最中だった。

タカオはその仲裁に入ろうとするが、そのことがきっかけでヤッさん(伊原剛志)と衝突してしまう。福寿司だけではなく、築地全体も若い者とおやっさん達のいがみ合いはヒートアップしていくばかりだ。

大食い番組を見たタカオは、親子の寿司対決を思いつく。覚悟を決め、ヤッさんに土下座をしてその立会人になってくれるよう頼み込む。こうして福寿司の親子対決が実現することに。

当日、ヤッさんは言ってしまう。「ちまたで流行の大食い対決みてぇなものは、でぇっきれい」だと。完全にTVチャンピオンの事をディスってしまうのだ。ちなみに、今回の親子勝負はあくまで味の勝負であり、大食いは関係ない。

ヤッさんがディスったのはそれだけではない。昔から何一つ変わらない親父さんの寿司をディスり、淳平の変りダネ寿司をディスり、二人の怒りを自分に向けさせる。そして、お互いの本音を引き出した。伝統を守るだけでなく、二人で足並み揃えて新しい寿司を握っていくと仲直りさせ、見事今話も一件落着。最後はタカオの提案で、築地の若い者とおやっさん方で仲良く飲むことに。

終わりが見えている物語は悲しい


ちなみにエピローグでヤッさんも「対決みてぇなものも悪くなかったな」「ちょっと観てみっか」と、TVチャンピオンと和解している。

今回の話は、旧世代と新世代の対決と和解がテーマ。TVチャンピオンが新世代なのかと問われると即答はできないが、ヤッさんもタカオとツルむようになって少しは丸くなった事を示しているのだろう。

この物語は築地が舞台。そして、築地市場は今年の11月で移転することが決まっている。おそらくラストはそこを描くことになるはず。最終話の対築地移転は確実にやってくる。いくらフィクションだからと言って「築地移転はなくなりました!めでたしめでたし!」ということは有り得ない。

必ずやってくる“悲しみ”に向かって進むこのドラマを楽しめるのは、あとたったの三話しかない。
(沢野奈津夫)