ショック続きの夏を肉汁ジュワジュワ餃子で乗り切る「甘々と稲妻」6話

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『シン・ゴジラ』、SMAP解散と日常がぶっ壊れるネタが続いた今年のお盆休み、締めはごはんアニメをのんびり見て日常に戻る準備をしてみませんか? というわけで『甘々と稲妻』先週放送の第6話「おともだちとギョーザパーティー」を振り返ってみよう。


ひょんなことから一緒に料理を作ることになった、シングルファーザーの高校教師・公平(演:中村悠一)と5歳の娘・つむぎ(遠藤璃菜)、そして包丁が使えない女子高生・小鳥(演:早見沙織)の3人。そこへ突然、小鳥の親友・しのぶ(演:戸松遥)が乱入するところから第6話はスタート。

グイグイとメンバーに加わろうとするしのぶに戸惑う小鳥。曇り気味の空模様は小鳥の心情を表しているかのよう。一方、つむぎはしのぶの「メンバーが増えんだよ! パーティーみたいだな!」の言葉にテンション爆上がり。子どもって本当にパーティーって言葉が大好き。筆者も4歳の娘の機嫌をとるために「今日は○○パーティーだな!」と言うことがある。でも、最近は「ただ、○○食べてるだけじゃん」と冷静に突っ込まれるようになってきた。子どもの成長は早い。

パーティーという言葉にテンションが上がったつむぎは、さっそくお手製の「しょうたいじょう」で小鳥との料理会に幼稚園の友達を呼ぼうとするが、それは公平がNO。「小鳥さんはつむぎのお友達を知らないよな?」という公平の言葉に「知らないんじゃない?」と返すつむぎの適当な感じの演技が絶妙すぎる。喜んだり泣いたりするテンション高めの芝居より、戸惑ったり、不機嫌になったりする微妙な感情を表す演技のほうが難しそう。やはり遠藤璃菜(10歳)は天才か。

幼稚園の友達を呼んでパーティーをしたいと主張するつむぎは、母親が生きていた頃、家に友達を招いて遊んでいたことを思い出していたんじゃないかと察する公平。実は子どもはそんなこと考えているかどうかわからないのだが、察するのは親の仕事だ。結局、自分の家に幼稚園の友達を呼んで、もう一度パーティーをするという提案で決着する。よかったね、つむぎちゃん。

激突! 料理できる組VS料理できない組


後半はガッツリと餃子の料理。手順は一切手抜きナシ、ちゃんと皮から作ります。公平、つむぎ、小鳥、しのぶの4人に、つむぎから「しょうたいじょう」をもらった公平の友人・八木(演:関智一)も加わって餃子を作るのだけど、青果店の娘・しのぶとカフェバーを経営する八木は「料理できる組」、公平と小鳥は「料理できない組」。サクサクと手順を進める料理できる組に、何度も教えてもらわないと理解できない料理できない組の描写がリアル。料理のできない人にとって、料理のできる人の手つきは魔術のように見えるもの。ギターの初心者がギターの上手い人の手元を見ても、何ひとつわからないのと一緒だ。

途中でしのぶが3人の空間を大切にしたいという小鳥の気持ちに気づくのは、ちょっとできすぎな展開だけど、見ている方は非常にストレスがない。これから美味しいごはんを食べるのに、モヤモヤを抱えたままなのはよくないからね。

焼き餃子、水餃子、手羽餃子が完成して、みんなでいただきます! 見事な餃子パーティーと相成りました。餃子の断面がちゃんと肉汁ジュワジュワしていてニクい。ああ、こうやって書いているだけで餃子が食べたくなってきたじゃないか。餃子の飯テロは殺傷力高い。残さず食べ終わって、今回もスパッとごちそうさまエンドなのも気分良い。

今回の脚本は成田良美が担当。シリーズ第1作『ふたりはプリキュア』から「プリキュア」シリーズ全作で脚本を執筆している唯一の脚本家で、そのうち4作ではシリーズ構成を務め、劇場版も8作品の脚本を執筆している。プリキュアファンならおなじみの人だ。子どもの気持ちも理解しつつ、女子同士の友情を描く腕前ならピカイチ。今回のエピソードにはうってつけの存在だったと言えるだろう。

餃子の作画ももちろん素晴らしかったのだが、『甘々と稲妻』で描かれるごはんが美味しそうに見えるのは、みんなで楽しそうに作って、楽しそうに食べているからだ。大切なのは味ではなく、そこに至るまでの過程。ごはんを美味しく食べている人は、人生が充実しているように見える。なんだか人生がつまらないと感じている人は、過程を大切にしながら美味しいごはんを食べてみてはどうだろうか。

さて、今夜放送の第7話は「五平餅とだいぼうけん」。東海地方出身者以外は「五平餅」と言われてもピンと来ないかな? 「はじめてのおつかい」に出かけたつむぎの運命やいかに……!
(大山くまお)