ゼットン星人、女子高生になりすます「ウルトラマンオーブ」5話

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『シン・ゴジラ』フィーバーは過熱する一方だが、特撮といえば忘れちゃいけないのが『ウルトラマン』シリーズ最新作『ウルトラマンオーブ』。先週放送の第5話「逃げない心」は、ウルトラマンの宿敵ゼットンの進化形が登場したぞ! ピポポポポ。


徹夜バイト明けのキャップ(松浦雅)が女子高生になりすました宇宙人に誘拐される。宇宙人の正体は、ウルトラマンオーブ=クレナイガイ(石黒英雄)を狙うゼットン星人マドックだった。ガイの行動を観察した結果、キャップの身に何かあれば必ずガイはやってくると考えたのだ。その読み自体は間違いではないが、正体を現したゼットン星人が一向にセーラー服を脱がないのが解せない。顔はゼットン星人なのにセーラー服。そういう趣味なのか。ちなみに設定によると、ゼットン星人がなりすました女子高生の名前は真渡子(マドコ≒マドック)だった。

案の定、飛び込んでくるガイだが、ゼットン星人マドックはハイパーゼットンデスサイスを隠し持っていた。ゼットンといえば『ウルトラマン』の最終話でウルトラマンを倒した最強怪獣。「ピポポポポ」という不穏極まりない謎の電子音が耳について離れないという人も多いだろう。今回もタイトルバックほかで繰り返し流している。

“ウルトラマンを倒した最強怪獣”という称号を得たゼットンは、その後のシリーズでも繰り返し登場して大活躍。2012年の映画『ウルトラマンサーガ』には、バット星人(『帰ってきたウルトラマン』の最終回で二代目ゼットンを率いて地球を狙った宇宙人)が作り上げたハイパーゼットンとして登場した。今回のハイパーゼットンデスサイスはその名の通り、両手が「死神の鎌(death scythe)」になっている。そういえば昔、巨大な鎌を持ったガンダムデスサイズというのがあった(『新機動戦記ガンダムW』)。巨大な鎌というアイテムは若干中二っぽい。なお、『ウルトラマンオーブ』第1話でオーブが戦っていたゼットンは、マガゼットンという魔王獣なのでハイパーゼットンデスサイスではない。

必ず新しいことを一つはやるオーブスピリット


セーラー服から戦闘服に(ようやく)着替えたゼットン星人マドックは、ハイパーゼットンデスサイスをけしかけてガイを攻撃するが、キャップの消火器による反撃を受けて撤退。巨大化したハイパーゼットンデスサイス(意外と語呂がいいので何度も書きたくなる)を、ガイはウルトラマンとウルトラマンティガをフュージョンアップしたスペシウムゼペリオンに変身して迎撃する。しかし、テレビの前のウルトラファンたちから「なぜゼットンにトラウマがあるウルトラマンを選ぶ!」と悲鳴が上がったらしい。

案の定、スぺリオン光輪(八つ裂き光輪のような技)を軽くかわされるスペシウムゼペリオン。相手がこちらのことを研究済ならば、研究していない姿で戦えばいい。ガイは早々にスペシウムゼペリオンに見切りをつけ、ウルトラマンジャック(『帰ってきたウルトラマン』、昔風に言えば新マン)とウルトラマンゼロをフュージョンアップしたハリケーンスラッシュに変身! 決め台詞は「キレの良いやつ、頼みます!」。ウルトラマンジャックは最終回で二代目ゼットンを、ウルトラマンゼロは『ウルトラマンサーガ』でハイパーゼットンを倒している。ガイのチョイスは理に適っていると言えよう。

ビルの上に乗って見栄を切るハリケーンスラッシュは、やはりビルの上に現れたウルトラマンゼロ成分強め。遠くからハリケーンスラッシュとハイパーゼットンデスサイスの激闘を眺めていたキャップだが、いきなりハイパーゼットンデスサイスがすぐそばにテレポートしてきて腰を抜かし、さらにそこへハリケーンスラッシュがオーブスラッガーショット(頭部から放つカッター光線)を放ってきてキャップが逃げ惑うという長回しのカットが新鮮。合流したSSPのジェッタ(高橋直人)とシン(ねりお弘晃)の足元から3人越しに映し出される、頭上で取っ組み合いを繰り広げる光の巨人と宇宙恐竜というカットも素晴らしい。田口清隆監督が表明した「必ず新しいことを1話にひとつはやる」というオーブスピリットが十分発揮された名場面だった。

ハリケーンスラッシュはオーブスラッガーランス(三つ又の槍の形をした必殺武器)をハイパーゼットンデスサイスをぶち込み、カラータイマーひとつ鳴らさず圧勝。ハイパーゼットンデスサイスはほとんど見せ場を作ることができなかった。ちなみにウルトラマンジャックもウルトラマンゼロもウルトラブレスレット(ウルトラゼロブレスレット)を元にした武器の使い手である。このあたりも理に適っているわけだ。

残るゼットン星人マドックを、ブルース・リーの物真似を取り入れながらクンフーで圧倒するガイ。最後は「おまえたちはまだこの腐りかけた星に侵略する価値があると思っているのか? 笑わせるぜ! いつかこの星を捨てて逃げ出すだろうよ……」と捨て台詞を残して泡と消えた。

風来坊のガイをキャップが手料理のマッシュルームスープでもてなして、ガイが遠い日を懐かしむというエンディングは、今後の展開を示唆していそうだ。マカロニウエスタン風のBGMが流れる中、立ち去ろうとするガイをキャップが引きとめたら、本当に数日泊っていくと宣言して終わり。やっぱり男は胃袋を掴まれると弱い。

さて、この記事が配信されている頃には放送が終わっている第6話は「入らずの森」。メトロン星人とナックル星人が手を組んで地球を狙う! 地球に侵略する価値がまだあってよかった! 見逃してしまったあなたには、円谷プロダクション公式チャンネル「ウルトラチャンネル」で1話まるごと見逃し配信中です。闇を照らして悪を討つ!
(大山くまお)