「LIFE!」#13海から生まれた「まっすぐ彦介」が再び海に飛び込むまで

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NHK総合『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』(NHK総合 毎週木曜22:25〜)。第13回(8月4日放送)のコントは「カッツ・アイ」「仕事は、恋のように」「最後の夏(ゲスト:村上虹郎、チョコレートプラネット、ラバーガール)」の3本。さらにLIFE!アニメ化プロジェクト第1弾「彦介&彦美の夏休み」が放送された。


彦介のモデルは「フォレスト・ガンプ」


アニメ「彦介&彦美の夏休み」では、二人が「ハワイの海は最高〜」と砂浜でバカンスを楽しんでいる。そこにNHKの三津谷寛治(ゼネラル・エグゼクティブ・プレミアム・ディレクター兼LIFE!スーパーアドバイザー)が登場。「ここは熱海です」と彦美に説明するが、彦美は「エェ、エェ」といつもの上の空。ようやく理解した二人は「うっかりうっかり!」とハワイに向けて海へレッツラゴーするのであった……。

アニメの最後はいつもの壁破りではなく、海の上を走ってハワイに向かう。
壁を破るのではなく、海に飛び込むというこの行動。実は「まっすぐ彦介」が誕生したときの発想に近いのだ。
放送作家の内村宏幸(内村光良のいとこ)が新キャラとして“極端にせっかちな人”を考えていたとき、ふと映画『フォレスト・ガンプ』を思い出したという。

《この映画の中で、僕が一番印象深かったのが、主人公のガンプが船乗りになって、母が病に倒れたという知らせを船の上で知ると、次の瞬間には海に飛び込んで母親の元へ向かうというシーンです。その俊敏すぎる動きに笑ってしまったこのシーンが、妙に頭に残っていました(内村宏幸『ひねり出す力 “たぶん”役立つサラリーマンLIFE! 術』より)》

このシーンは“極端にせっかちな人”というキャラクターにぴったり。しかし、さすがにスタジオの中で毎回海に飛び込むのは無理がある。そこで同じくらいインパクトがある「壁を突き破る」という設定にアレンジした。

つまり、スタジオコントのために「海→壁」に変更した部分が、アニメ版では「壁→海」に再び戻ったことになる。物理的な制限を気にせず、ようやく彦介&彦美は気兼ねなく海に飛び込むことができたのだった。

物理的な制限という意味では、増田彦介&三津谷寛治という内村キャラの共演もアニメだからこそ。「うっかりうっかり!」と叫ぶ前に宇宙までズームアウトしたときに、UFOに乗った宇宙人総理をちらりと登場させている遊びも楽しい。

今日の名言


第13回の『今日の名言』は「カッツ・アイ」より。
石像を盗み出そうとするカッツ・アイの3人。盗みを止めに来たお父さんの言葉も聞かず、ロープで石像を吊り下げて運ぼうとするが馬鹿みたいに重い。娘二人はロープを持つ手をプルプルさせてお父さんに助けを求める。最初は渋っていたお父さんだったが、ついに観念してしまう。

「ありがとうお父さん! 大好き!」
「なぜだかお前達の2歳の頃の顔が浮かびました」

この前に娘たちは「永遠に目が覚めなければよかったのに」「父親ヅラするのは家だけにしてよ」と散々お父さんをコケにしていたのに、やっぱり娘の頼み事となると断れない。カッツ・アイお約束の展開である。

『やるやら』『笑う犬』に比べ、『LIFE!』では内村光良が父親役を演じることが多い。年齢による理由もあるだろうが、そもそも『LIFE!』の成り立ちを振り返れば必然とも言える。ディレクターの西川毅は『LIFE!』を企画する際、「NHKらしさ」と「内村光良」を両立するキーワードを考え続けて「人生」に辿り着いたという。

《「笑う犬シリーズ」(フジテレビ)の時は30代半ば、あれから結婚をされ、お子さんが生まれ、さまざまな経験をされました。そんな内村さんだからできること……突き詰めていくと「人生」というキーワードが浮かび上がってきました。「人生の喜怒哀楽、奥深さをコントで表現したらどうだ?それはきっと人生経験を重ねた今の内村さんだからできることだ!」(LIFE!誕生秘話 | NHK×コント | NHK職員採用情報より)》

人生経験を重ねたからこそ手に入れた「父親」のカード。現役でコントを続けているからこそ、新しいカードも自由に使いこなせるのだろう。このまま『LIFE!』を続けたら「祖父」のカードも手に入れて、孫を交えたコントもできそうだ。

さて、リオオリンピック開幕のため、『LIFE!』本編は9月1日(木)までお休み。
その代わり『リオ五輪デイリーハイライト』の中で、LIFE!キャラの応援VTRが日替わりで流れるとのこと。HPにはリオオリンピック盛り上げ隊として、彦介彦美によるフェンシングのショートコント動画があがってます。これはこれで楽しみ……!
(井上マサキ)