『キャプテン翼』「なにィ」の回数をシリーズごとにグラフ化してみた

写真拡大 (全3枚)

リオ五輪サッカー日本代表。グループリーグ初戦が明日8月5日9時45分からNHK総合で放送される。彼ら同様、世界のトップを目指す男たちのサッカー漫画がある。高橋陽一の『キャプテン翼』シリーズ。
現在も『キャプテン翼 ライジングサン』がグランドジャンプで連載中。単行本は最新刊の第4巻が先月発売。翼くん率いる日本代表がマドリッド五輪金メダルを目標に、勝利を重ねていく。ここまでグループリーグで1勝を挙げており、ディアス率いるアルゼンチン代表と試合中である。
主人公・大空翼が世界中の天才をサッカーで撃破していくこの物語は、1981年から続いてきたシリーズだ。ゴールキーパーが落ちてくる巨大な岩を拳一つで粉砕したり、打ったシュートがゴールネットを突き破って壁にのめりこんだり。翼くんたちの創造するサッカーは、プロレス観戦に似た刺激がある。連載当初から現在まで、それはずっと変わらない。


「サッカーは想像力のスポーツ! この広いグラウンド みずからのアイデアで勝負するんだ!」(キャプテン翼単行本9巻「思わぬゴール!! の巻」より)
翼くんの師・ロベルト本郷のセリフである。
試合中、敵味方で驚きの応酬がある。初代『キャプテン翼』ではゴールポストを蹴り上げて高く跳び、ゴールを狙う(トライアングルシュートと呼ぶ)双子のライバルが出てきた。中学で再び同じ対戦相手にトライアングルシュートを仕掛けようとするも、直前でゴールポストを蹴って位置をずらされ、阻止されてしまった。
一方のチームが想像力豊かなプレイをするとやられた側が「なにィ」と叫ぶ。しかし、やられた側も何度目かで、信じられないプレイを使ってきっちり対応してくる。双方「なにィ」の言い合いになる。試合の中で、知恵比べ、驚かせ合戦の応酬がある。
初代『キャプテン翼』、『ワールドユース』編、『ROAD TO 2002』、『GOLDEN-23』、『IN CALCIO』、『EN LA LIGA』、『ライジングサン』、これらの単行本全94巻で吹き出し「なにィ」が登場した回数は全部で1117回あった。
『キャプテン翼』の登場人物たちはどんなときに「なにィ」と口走ってしまうのか、シリーズごとの傾向によって考えてみる。

シリーズごとの巻数、1巻あたりの「なにィ」数の平均をグラフ化してみた



回数が少ない『ROAD TO 2002』、『GOLDEN-23』、『IN CALCIO』、『EN LA LIGA』


『ROAD TO 2002』、『EN LA LIGA』は翼くんがスペインの強豪クラブチーム・バルセロナでプロサッカー選手としてピッチに立つシリーズ。1巻あたりの平均「なにィ」回数が5回を切っている。
翼くんより年上の世界レベルのプレイヤーがたくさん出てくるせいだろう。彼らはなかなか「なにィ」とは言わない。経験豊富なため、そう簡単にはびっくりしてくれないのだ。
世界のレベルはあまりに高く、『ROAD TO 2002』では翼くんが2部チーム行きを命じられたほどである。
『GOLDEN-23』、『IN CALCIO』は翼くんの試合シーンがメインではないため、「なにィ」の回数が少ない。ゴールデンの方はオリンピック予選が舞台とはいえ、翼は召集をかけられておらず、敵チームも翼くんがいるときほどはびっくりしてくれなかった。


「なにィ」の数が多い無印、ワールドユース編、ライジングサン


翼くんが同世代の人と試合をする場合、「なにィ」数が増える。翼くんが敵チームを驚かせまくるのが1つの理由なのだが、2つめの理由として翼くんがいると強豪チームと当たりやすいせいもある。
『ライジングサン』ではグループリーグは『オランダ・アルゼンチン・ナイジェリア・日本』という死のグループに属してしまった。
敵チームに強者がいる場合、石崎や早田、次藤くんなどのDF陣の「なにィ」数がどうしても多くなってしまう。現在、単行本4巻で行われているアルゼンチン戦ではディアスに日本イレブンがごぼう抜きされ失点されるシーンがある。この際、日本は「なにィ」を3回も言ってしまった。
翼くんが登場する国際試合もののシリーズはそれなりに巻数が多くなる傾向もある。

栄光、財産、生涯の伴侶、すべてを手にしている翼くん


たくさん驚かせた方が勝ち、というように考えると翼くんのいるチームは同世代の中ではかなり強い。翼くんが出場した試合では、日向くん率いる明和FCと始めて当たった時くらいしか、明確な敗北シーンも描かれていない。『ライジングサン』でも必ず優勝だろう。翼くんの奥さん、早苗さんの出産予定日が決勝の日程ということもあるし。

リオ五輪、日本代表初戦の相手はナイジェリアだが、キャプテン翼でも、かつて日本対ナイジェリアの試合があった。翼くん抜きで2対2の引き分けである。手倉森JAPANは勝ってほしい。というより、翼くんたちより先に金メダルを取ってほしい。
(山川悠)