「一方的にネットストーキングをしました」新人声優ユニット イヤホンズ座談会
アニメの放送終了後もユニット活動は継続され、10月に1stワンマンライブを開催。11月には1stアルバムを発売し、「それが声優！」の原作者でもある浅野真澄が所属する伝説の声優ユニットAice5との対バンライブもNHKホールで行なった。
そして、1stシングル「耳の中へ」の発売から、ちょうど1年を迎える明日、2016年6月18日。ラフォーレミュージアム原宿で、「イヤホンズ一周年記念LIVE 東京声優朝焼物語」を開催する。
そこで、都内某所のスタジオに集まり、8か月ぶり2回目のワンマンライブに向けてレッスン中の3人にインタビュー。ユニット結成からの1年間を振り返りつつ、ライブへの思いや、イヤホンズの未来について語ってもらった。
メンバーのTwitterをこっそりと監視
──イヤホンズ結成からまもなく1年ですね。
高橋 知人や友達たちに「今度、1周年ライブがあるんだ」って話すと、「あれ？ まだ1周年なんだ？」みたいなリアクションをされることが多いんです。
長久 私たちはまだまだ新人の心意気なんですけど。周りの方には、だいぶ長く活動している印象があるみたいです。
高野 自分自身でもまだ1年しか経ってないんだってよく思います。私たちが初めて会ったのは去年の2月なので、そこから数えると1年4か月なんですけど、2年くらいは経っているイメージがあります。
──ユニット結成が決まってから、初めて他のメンバーと顔合わせをするまでは、どんな気持ちだったのですか？
高橋 これは初めて言いますが、私は2人がどんな子なのかすごく気になって、一方的に2人のTwitterを監視しました（笑）。
高野＆長久 えー！
高橋 フォローするとバレちゃうので、こっそり。ブログやってるのかなって調べたり、一方的にネットストーキングをしました（笑）。
長久 私とりえりー（高橋の愛称）には共通の友達がいて。イヤホンズを結成するよりも前に、その子が作ってくれたLINEのグループの中に2人とも入っていたんです。でも、お互いに全然気がつかなくって。初顔合わせの数か月くらい後に、「あれ？ このグループにりえりーもいたの？」みたいな感じでした。
高橋 全然、知らなかったよね。
長久 まりんか（高野の愛称）とは、初顔会わせのときが本当に初めて。キングレコードさんのスタジオで会ったんですけど。会場が広いなって思わなかった？
高橋 思った思った！ 顔合わせって、会議室とかで面接みたいな感じにやるものだと思ってたんですけど。会場がダンスのレッスンにも使うような広い部屋だったんですよ。それにまずびっくりしました。
長久 真ん中に置かれた長テーブルのところに私たち3人が座らされて、周りをスタッフさんたちが取り囲むっていう状況で。まりんかは怖くなかった？
高野 私は2人の名前も聞いてなかったので、予備知識もないまま顔合わせに行ったんですけど、一番に会場へ着いちゃって。「こんなに広い部屋にひとりぼっちになるなんて、おかしい。絶対に会場ここじゃない！」と思ってた（笑）。そうしたら、がっきゅ（長久の愛称）がサッと入ってきてくれて。「ここで合ってますよね？」みたいな話をしたのが最初でした（笑）。
高橋 へえー、そうだったんだ。
高野 1人で来ているのにすごく堂々としていたから、その時は「長久さんって、すごくお姉さんタイプの人なんだな」って思った覚えがあります。
長久 その時はって、おかしいでしょ（笑）。でも、その時に比べると、3人の関係性はかなり変わった気がします。
高橋 メンバーそれぞれに個性があるので、それを理解ができたというか。これが彼女のデフォルトなんだみたいなことが分かりましたね。そこは、初期とはだいぶ違うと思います。
今まで思っていた1周年よりも、もっと大きい一歩になる
──間近に迫った、2ndワンマン「イヤホンズ一周年記念LIVE 東京声優朝焼物語」では、どのようなライブをファンの皆さんに見せたいですか……と定番の質問をしたいのですが。高橋さん、少し困った顔をされていますね？
高橋 どんなライブにしたいか……。実は、疲労が左ひざに来てしまったみたいで（腸脛靭帯炎と診断）。治ってきてはいるんですけど、ライブ当日、どれだけ動けるようになっているのか。今（取材日は先週）の時点では自分自身も分からないんです。
長久 NHKホールの時の（Aice5の）たかはし智秋さんみたいに、ソファで寝そべってやるとか（笑）。
高橋 私は、智秋さんみたいにセクシーじゃないから！
高野 智秋さんみたいに、グッドルッキングガイ（外国人ダンサー）を呼べばいいよ（笑）。
高橋 呼んじゃう？ 意外とアリだったりするのかな（笑）。ただ、まずは来てくださるお客さんに心配されながらのライブにはしたくないんです。上半身はぴんぴんしていて。すごく声も出るし、バリバリ歌えるので。皆さんに「りえりーの歌を聴けて良かった」と思ってもらえるように、元気な部分ではいつも以上に頑張りたいです！
──NHKホールでのイヤホンズvsAice5のライブでは、Aice5のたかはし智秋さんがアキレス腱断裂という重傷を押して出演していました。でも、悲壮感はまったくなく、お客さんも純粋にライブを楽しんでいましたよね。
高橋 自分がケガをしてみて、智秋さんやAice5の皆さんの偉大さがさらに分かりました。なんで、あんなにも周りの人を安心させることができるんだろうって……。改めてあのライブの凄さを噛みしめています。膝のことは、2人にも今日話したばかりなんです。ごめんね。やばいよね？
長久 う〜ん。でも、この3人で1年やってるし。3人集まればできないことはないかなって。
高橋 マジか！（笑）。
長久 あはは（笑）。今回のライブはこの1年で成長した姿を見せる場でもあるから。誰かがちょっとしたトラブルにあったとしても、他の2人がフォローできるくらい成長したんだよって姿を、ファンのみんなに見て頂きたいなとも思うし。しんみりした空気になるよりも、みんなで6月18日を楽しいものにしていきたいからね。
高野 でも、今日、私がスタジオに着いた時には、がっきゅもすごいしょぼんってしてたよ？ 「この空気は何だろう？」って思いながら入ったし（笑）。
高橋 あ、あれは私がしょぼんとしていて、マネージャーさんやがっきゅに慰めてもらってたの。
長久 りえりーは、フォローするとすぐに泣いちゃうから（笑）。
高橋 そうそう、嬉し泣き。がっきゅが全然動じないで話を聞いてくれたから、びっくりしちゃって。「なんで不安じゃ無いの？」みたいな。
長久 まだ、フォーメーションも変えられる時期だし、なんとかなるって！ 私とりえりーだけじゃなくて、まりんかもいるしね。
高野 きっと今一番辛いのは、りえりーなんですけど。私自身は、このケガも悪いことばかりじゃないと思っていて。もちろんケガをして、今までやってきたことが出せないのは良いことではないけれど。今までやってきたこととは全然違うものを、皆さんに見せられるチャンスでもあるじゃないですか。それに、3人が経験したことのないこの危機を乗り越えられたら、今まで考えていた1周年よりも、もっと大きい一歩を踏み出せることになるんじゃないかなと思ってます。
長久 まりんか、良いこと言った〜！
高橋 さっきから、2人ともすごく頼もしいことを言ってくれて、びっくりなんですよ！ 2人とも本当にすごい！ 自分が皆さんにご迷惑をかけることになってしまって。今日スタジオに来るまでは申し訳なさしかなかったんです。でも、こんな風に、自分が周りに支えてもらえる場所にいることを改めて感じられたことはすごく嬉しい。1年間、この3人で頑張って来て良かった！ 一緒に頑張ってきたからこそ、2人がこういう風に思ってくれるのだと思うし。この1年で、そんな関係性ができていたんだなって、2人の言葉を聞いて、すごく嬉しくなりました。
3人で見えないゴールの先を目指していきたい
──1周年記念ライブの約2か月後、8月27日（土）には、アニソン界最大のフェス「Animelo Summer Live 2016 刻-TOKI-」への出演も決定しています。さいたまスーパーアリーナでの初めてのライブは、どんなものにしたいですか？
高野 DVDでアーティストさんのライブを観たことはあるのですが、観るのと、自分があのステージに立つというのは全然違うと思うので、本当に計り知れない気持ちです。でも、今まで応援してくれたコマクちゃん（イヤホンズファンの総称）や、初めてお会いする2万5000人の皆さんに、「イヤホンズ面白いな」と思ってもらえれば、それが一番の収穫かなと思っています。
高橋 お客さんとしてスーパーアリーナのライブを観に行ったとき、ステージは遠かったけど、会場全体の空気は一緒で。遠くても同じ空気を感じられるのがすごく嬉しかったんです。会場にいるすべての人と空気を共有したいという演者さんの気持ちって、遠くても必ず伝わるので、私たちもそういう風に、すべてのお客さんと空気を重ねたいですね。
長久 2人が全部言ってくれたんですけど……（笑）。今はまだ、2万5000人もの方の視線が自分たちに集まることを、正直ちょっと怖いなって思ったりもするんです。でも、声優をやっていて、アニサマというアニソン最大の舞台に立たせてもらえる機会なんて、なかなか無いこと。2万5000人のお客さんみんなに、コマクちゃんになってもらえるようにしたいなって思います。
──最後に、イヤホンズの2年目の目標を教えてください。
高橋 私は、すべてのことを一発にはしたくなくて。例えば、今年アニサマに初めて立たせていただけるわけですが。イヤホンズの活動が続いているのに、来年はアニサマに出られなかったというのは、絶対に嫌なんです。今年アニサマに出られる存在になれたのであれば、それをちゃんとキープできるように。もっと皆さんに求めてもらえるような、そんな1年にしていきたいです。
長久 イヤホンズって、3人それぞれの個性が強いから、これからの未来が見えないというか、どの方向に転がっていくか分からないところが面白いと思うんです。プロデューサーさんは、いつも奇抜で普通じゃない面白いことばかり考えてくるんですけど。2年目もきっと、いろんなことにチャレンジさせてもらえると思っています。今回のワンマンみたいに、これからもいろんな壁はあると思いますけど、3人なら乗り越えていけるし、それを乗り越えた先にはまた違う未来が待っているはず。いつもコマクちゃんたちが応援してくださっているという安心感もあります。ずっとこの3人で、見えないゴールの先を目指して、私たちのキャッチフレーズ「成長！全力シンデレラ」のごとく、全力で階段を上がっていきたいです。
高野 私の目標は、2年目だからという内容ではないんですけど……。イヤホンズの力で、もう一度、Aice5さんとライブがしたいんです。Aice5さんは、もうライブ活動の予定はなくて、お鍋会をするのが活動内容だと仰っていますけど（笑）。伝説のユニットであるAice5さんと一緒にステージに立てたことは、私たちの中で本当にありがたい経験だったので。いつか、お姉さんユニットであるAice5さんに、私たちこんな風に成長しましたって観てもらえる場を作れたら良いなと、ずっと思っています。2年目の私たちがどれだけ成長できるかはまだ分からないですが、まずはワンマンとアニサマでどれだけ歩を進められるか。そして、その先に何を生み出せるかも期待していただきたいです！
（丸本大輔）
