中国経済の成長が鈍化し、生産能力の過剰という問題が深刻化している。中国は世界金融危機の際に4兆元規模の景気対策を行ったが、成長鈍化が鮮明になった今になってその弊害が現れている。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国経済の成長が鈍化し、生産能力の過剰という問題が深刻化している。中国は世界金融危機の際に4兆元規模の景気対策を行ったが、成長鈍化が鮮明になった今になってその弊害が現れている。

 中国で生産能力の過剰が特に深刻なのはセメントや鉄鋼といった産業だ。これらの産業は中国の不動産価格が上昇し、各地で不動産開発が積極的に行われていた際は大きな問題はなかったが、不動産価格の伸びが鈍化し、不動産開発投資の伸びが鈍化するにつれて生産能力の過剰が顕在化してきている。

 中国は国内で捌き切れないだぶついた鉄鋼製品を安価で輸出に回しているが、それによって国外の鉄鋼メーカーが打撃を受けている。中国メディアの華爾街見聞はこのほど、米国に中国製の鉄鋼製品が大量に流れ込んでいることに対し、米国が一部の鉄鋼製品に最高450%の反ダンピング関税を課すことを決めたと伝え、中国商務部が反発していると伝えた。

 報道によれば、中国の鉄鋼輸出量は世界全体の輸出量の約半分を占めるが、オーストラリアや英国、米国などでは多くの鉄鋼メーカーが倒産に追い込まれている。記事は、こうした状況に対して、「中国がスケープゴートとなっている」と主張し、欧米は中国が高額の補助金のもとで世界に向けて「生産コストを下回る」価格で大量に鉄鋼を輸出し、世界の鉄鋼価格の下落を招いていると批判していることを伝えた。

 続けて、26日に始まった伊勢志摩サミットでも鉄鋼に関する問題が焦点となったと伝え、「中国が出席していないにもかかわらず、生産能力の過剰が経済にマイナスの影響を与えている」と明確に示されたと主張。中国と欧米の鉄鋼をめぐる問題は日増しに深刻化していると主張、欧米側の見解や行動に対して苛立ちを示した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)