【全文その1】ハリルホジッチ監督、日本代表メンバー発表会見。槙野を左SBで起用する狙いとは?

写真拡大

6月に行われるキリンカップに向け、25名の日本代表メンバーを発表したヴァヒド・ハリルホジッチ監督。

会見は日本サッカー協会のYoutube公式チャンネルで生中継されたのだが、今回はその代表メンバー発表会見の全文をお届けしよう。

会見は1時間弱にもわたって行われたため、今回は前編と後編に分けてお伝えする。

【関連記事】日本代表メンバー発表、初招集は大島僚太と小林祐希!

※できる限り口語のまま掲載

ヴァヒド・ハリルホジッチ(日本代表監督)

「コニチハ。

このキリンカップに関してですが、全てのクオリティを求めなければいけない。選手とチームに要求することがあります。

この大会に向けて、大きな野心と真剣さを持って臨まなければいけない。対戦国となる3つのチームは異なるやり方、異なる経験を持っています。そしてクオリティも高い。

ボスニアとデンマークに関しては、ユーロのプレーオフで惜しくも敗れたチームですね。ブルガリアはレベルを盛り返し、野心も盛り返している段階のチームですね。

これまでのブルガリアとの対戦経歴を見ますと、日本代表はブルガリアに対して分が悪い。見るところによると、このチームに勝ったは一度もない。過去に4回負けて、1回引き分け。

もしこのチームに勝つことができれば我々にとって大きなことになるのではないか。ただ、大きなことを成し遂げるには準備しなくてはいけない。グラウンド上とグラウンド外ですね。

この6月に何が起きるか、どういう問題が起きるかというのはもう分かってます。代表監督にもいろんな問題が起きてきます。

つまり、リーグ戦が終わった段階の人間がいるということですね。疲労も大きなものがある。フィジカルだけでなくメンタル面の疲労もあります。それからガッカリした選手もいるでしょう。

大変なことをした人間もいます。つまりレスターですね。本当にフットボール界においてものすごく大きなことをした。レスターがリーグ戦で何を成し遂げたか。そして、どんな相手がいるのか。オカがやったことに関してですね。

今いろんなところを訪れていて、いつ彼が合流するか分かりません。彼はプレーするために来るのかキリンカップを祝福するために来るのか分かりません。それは冗談としても、オカの働きは嬉しいですね。

疲労がかなりあると思います。それから選手の中にはガッカリした人もいるでしょう。

なぜかというと、2部に落ちてしまったクラブもありますからね。海外組に関しては、何人かの選手は良いシーズンを送ったでしょう。

そして国内組に関してはここ何ヶ月かかけてメッセージを発信していますけども、日本のフットボールが本当にデリケートな状況に陥っていると。昨日も(ACLで)浦和がやられた試合を見てしまいました。FC東京もやられてしまいました。

アジアの準々決勝に日本のチームが一つも存在していない。韓国、中国、UAE、カタール、ウズベキスタン。日本のチームは存在していない。

ここに呼ぶであろう人間には、全く満足していません。これは正直に言います。後ほど『なぜ他の人を選ばないのか?』と質問してほしいですけれど、それはなぜかと言うと彼らがより良いからです。

ただ、ここに選ばれたのは本当にギリギリのところですね。もう一度言いたいですけれど、仕事の量と質ですね。それを現代フットボールに適応していくと。

もちろん選手のクオリティ、伝統は持ち続けた方が良いと思うんですけども、ただ、向上するためには大きな疑問を持った方が良い。

もちろん各国、大きな問題はあると思います。ただこの国には勝つ文化を植え付けたいですし、我々よりも強いであろうチームに対して勝つトライをする準備をします。

我々にとっては良いテストになると思います。ワールドカップの最終予選は簡単なグループではないと思います。我々はいろいろなことに気付かなければいけないですけれども。

この合宿には22人のフィールドと3人のキーパーを呼びます。そして、9人のバックアップメンバーを予定しています。

この合宿が始まるギリギリまでいろんな所を訪れて、合宿に参加してほしい選手を見つけてきました。オリンピックに入っている若い選手も呼ぶつもりです。彼らも合流するであろう。

彼らが試合をするかは分かりませんけども、よりよく知るためですね。これからそれは詳細に説明します。

では、リストを今から発表します。

(トロフィーを眺めながら)

キリンカップのトロフィーは美しいですね。

日本のサッカーミュージアムには、トロフィーがあまりないという印象です。これをショーウィンドウの中に飾りたいです。(その中には)たくさんの場所が空いていると聞いてます。

まぁ、こんな感じですね。笑いながら真実も言わなければいけない。

皆さんが評価するか分かりませんけども、私は勝ちたい。とにかく勝ちたい。こういうトロフィーを勝ち取りたいと思います。

では3人のゴールキーパーですね。

ゴールキーパー

西川 周作(浦和レッズ)
東口 順昭(ガンバ大阪)
川島 永嗣(ダンディー・ユナイテッド/SCO)

(西川について)昨夜ですね、PK戦までもつれこんだかなり厳しい試合をしてきました。

彼も蹴ったということですけども、A代表では絶対に蹴らせません。これは確実です。

それから東口、川島永嗣ですね。

(3人について)優先順位は決めていません。競争してほしい。誰が最初にスタートするのか私に聞かれても分かりません。合宿しながらトレーニングを見て決めます。

先発を勝ち取るためにしっかり戦ってもらって、最後の最後で決めなければいけない。この3人は本当に大きな競争があるなと。

林も含めれば4人がここに入るな。誰がこの先発を取るかというのは私も分かりません。大きな競争があるなと。

サイドバック

酒井 宏樹 (ハノーファー/GER)
酒井 高徳(ハンブルガーSV/GER)
長友 佑都 (インテル/ITA)
槙野 智章 (浦和レッズ)

(酒井宏樹について)難しいシーズンを送った人間ですけども、彼のクラブが降格してしまった。最後の2試合くらいは出ていませんね。

酒井高徳はシーズンの最初は難しかったですけど、先発を勝ち取ったと。大きなクラブですので競争はかなりあるだろう。先発を取り続けて残ってほしいな。彼にとっても良いですし、A代表にとっても良いことになるでしょう。今のが右サイドバックの競争ですね。

それから長友佑都。彼のフィジカルクオリティ、キャパシティはものすごい。本当に模範ですね。

彼の仕事ぶり、トレーニングぶり、テストのやり方、そして彼の熱心さ。そういうものがインテルに貢献しているんでしょうね。人格も模範ですね。いつも勤勉で模範になってくれる選手です。

今回、槙野は左サイドバックで競争してほしいなと思っています。なぜか?

まずは、このポジションでプレーしたことがあると把握しています。

浦和ではオフェンスの時に左サイド、ディフェンスの時は真ん中に戻りますけども。これから迎える試合に関しては、彼のヘディングの強さやフィジカルの強さが必要になってきます。それから彼がどのように習慣化するか見たいと思います。

槙野もディスカッションを用意しています。もっともっと上手くなるよ、と。特にディフェンス面でもっともっと上手くなるよというディスカッションしたいと思います。

それから藤春とか太田も競争に入ってます。彼らともしっかりコンタクトを取ったんですけども、ディフェンス面のところをもっとやってほしいと。もちろん彼らはオフェンス面も素晴らしいものを持ってるんですけども、とにかくディフェンス面を2人とも上げてほしいと思います。

そういうこともあって槙野を左サイドに置いています。

センターバック

吉田 麻也(サウサンプトン/ENG)
槙野 智章(浦和レッズ)
森重 真人(FC東京)
昌子 源(鹿島アントラーズ)
丸山 祐市(FC東京)

麻也はクラブでかなり難しい状況を迎えています。彼以外の選手が先発を取っている。

しっかり補足トレーニングをしなさいというコンタクトも彼に常に取り続けています。クオリティもかなりある選手ですね。

ただ、ゲームをプレーしないとなるとパフォーマンスに疑問を抱かざるを得ない状況になってしまうと。キリンカップのような試合で彼が準備できているかどうかを見なければいけない。

彼はシーズンを終わった後も我々が与えたプログラムをしっかりやってきて、今現在もしっかりやってくれています。これから様子を見て決めていきたいと思います。

森重もしっかり良いシーズンを送っているなという印象です。

我々は個人個人にディスカッションして伸ばすところを必ず伝えているんですけれど、我々が要求することがクラブと違うことは多々あります。A代表は違うやり方をするので。特にタクティカルな面ですね。彼も真剣な男なので、しっかりやってくれています。

昌子も良いシーズンを送っている印象ですね。デュエルが向上している印象があります。そして空中戦のデュエルも勝ってるなと。そして攻撃の組み立てのところをもうちょっと向上できるかなと。より速いプレーを心がけてほしいですね。

ただ、向上している最中ですね。まだ23歳ですし、彼も代表で先発を取ってほしいと思います。

それから4人目となるのが丸山ですけども、今のところ全てのセンターバックが右利きです。彼は左利き。まぁ、左利きだから呼んだわけではないんですけども。

クオリティはあるんですけども、まだ恥ずかしさが取れないですね。よく聞いてくれる選手ですけども、まだ学ばなければいけない。勇気、自信、前に行くこととかですね。

そして、左利きも我々のチームに必要。ただ先発を取らなければいけない。まだ2、3人くらい彼の席を奪えそうな選手がいますから。ただ、彼は合宿に呼びます。

8人のディフェンダーですね。キリンカップに向けて競争しなければいけない8人です。

それでは中盤にいきます。

守備的ミッドフィールダー

長谷部 誠(フランクフルト/GER)
柏木 陽介(浦和レッズ)
遠藤 航(浦和レッズ)

(長谷部について)我々のキャプテンですね。最後の最後で良かったですね。

ただ、非常に疲労しています。最後に合流するのが長谷部です。彼がどういう状況で来るかは分かりません。

彼ともディスカッションしたんですけど、2、3日休んでもらって、土曜日に合流になると思いますけども。現場でどのような状態か見て、我々のメディカルスタッフが疲労回復のところをやらなければいけないな、というところですね。その仕事を彼にやってもらわなければいけない。

陽介も何試合か我々と一緒にやっています。私のオフィスに来た数少ない人間の一人です。左足で組み立てるのがすごく上手ですね。まだパワーはないですけども、これからしっかりトレーニングしてもらいたい。

彼のことは信頼しています。ただ、彼も他の選手と競争していかなければいけない。昨日の試合もかなりキツかったと思います。ただ、アグレッシブさが出てきましたね。プレッシャーのところも、ボールを失った瞬間も前に行きながらボールを奪っています。

彼がプレッシャーのスイッチになってます。フィジカル的にもかなり良くなってますね。トレーニングしていますから。以前よりもかなり良くなっています。

本当にここ最近全ての面で向上している選手です。得点も取れる選手ですね。まぁ、得点を取らせる選手ですけども。フリーキックとかですね。彼の左足が良い結果を生み出すと良いな、と思います。

(遠藤について)彼は後ろのポジションでプレーしていますけども、中盤で使いたい選手ですね。パワーもありますし、昨日は1失点目に関わってしまいましたけども。

オリンピックにも呼ばれるであろう選手ですね。若いですしかなり信頼しています。クオリティもかなりあります。

多くの国内組の選手と一緒で、フィジカル的なところはまだまだです。彼らにも体脂肪テストをしてもらって、求める基準より高ければ私は嬉しくない」

【後編に続く】