支援の仕方を間違えないために『災害支援手帖』無料公開中

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熊本県を中心に、規模の大きな地震が連続して発生し、甚大な被害を及ぼしている。多くの被災者が避難生活を送っている中、地震で直接被害を受けなかった我々はどのように支援を行えばいいのだろうか?

そのガイドとなる書籍『災害支援手帖』(木楽舎)が、期間限定で無料配布されている(形式はPDF)。著者はTBSラジオ『Session-22』のパーソナリティーとして知られる荻上チキ氏。荻上氏からの働きかけに木楽舎が応える形で無料公開に踏み切られた。


「災害支援手帖 臨時公開版」

災害大国である日本に住み続ける上で、知っておくべき被災者を支援する方法をピンポイントかつ具体的に紹介している。文字数も少なく、イラストも豊富で非常に読みやすい。

「第1章 お金で支援しよう!」では、無駄なく上手にお金を被災地に送るための情報がまとめられている。

「義援金」は被災者に直接配られるお金であり、窓口は複数あるが、すべて日本赤十字社にまとめられてから被災者に配られる。日本赤十字社のホームページにアクセスすれば、寄付の方法がわかる。

一方、「支援金」は被災者を支援している人たちを支えるためのお金であり、さまざまな団体が窓口を設けている。団体を紹介するポータルサイトもあり、支援したい団体を選んでお金を送ることができる。

ほかに、義援金は配布されるまで時間がかかることを理解しておくこと、ニセ募金に注意することなどについて解説されている。

「第2章 モノで支援しよう!」では、ありがた迷惑にならない物資の支援の方法が書かれている。

被災地で必要とされているものは常に変わっており、正しい情報を得なければ大量の「支援ゴミ」を生み出すことになる。大量のカップラーメンを送っても、水が出なかったり、お湯をわかせなかったりすると無駄になる。

重要なのは「現地のニーズを知っている人」との連携。そして、「必要なものを」「必要なタイミングで」「負担をかけずに」「責任をもって」届けること。そのための心得や方法などが記されている。

また、必需品などの支援をスピーディーに行う組織、日本TCGF(The Consumer Goods Forum)も紹介されている。大手食品メーカーや流通業者、商社などにより2011年8月に結成された組織である。

「第3章 ちょっとした工夫で支援は変わる!」では、「商店街の復興費用を援助するには?」「『情報を届けるため』の手助けをするには?」「仕事をなくした人を支えるには?」など、お金や物以外のさまざまな支援の事例が紹介されている。

災害支援が必要なのは、災害直後だけではない。ここでは多面的かつ継続的な支援の仕組みづくりについて学ぶことができる。

日本は地震だけでなく、大雨、台風、大雪など、数年ごとに大規模な災害に見舞われている。そのたびに人々の間で支援の輪が広がるが、同時に混乱も生じている。被災者に迷惑をかけてしまう人も少なくない。

正しい支援の方法を知れば、「困っている人を助けたい!」という気持ちを迷子にすることなく、効率良く被災者に支援の手を差し伸べることができるようになるはずだ。

「災害支援手帳 臨時公開版」の公開期限は未定。著作権は、著者および木楽舎に帰属している。また、書籍版『災害支援手帳』は、全国書店ほかAmazonなどの通販サイトで発売中。災害大国・日本に住む以上、一家に一冊備えておきたい。
(大山くまお)