お酒を飲んでいるとき、たまたま図書券の話になった。何かの賞の記念品とかにもらえたりする紫式部のようなデザインのあれだ。筆者は知らなかったが、発行終了からすでに10年以上がたち、今は図書"カード"になっているという。

小学校や中学校のときにコンクールの記念品にもらった……などという華やかな思い出があるわけではないが、販売終了したと聞けば手に入れてみたくなるもの。さっそく行動開始だ。

図書券の発行会社に聞いてみた


図書券を発行していた日本図書普及株式会社に、発行をやめた理由を聞いてみた。券自体がお店や発行会社を移動するので保管や確認に労力がかかっていたからだそうだ。

2005年に図書券の発行は終了。現在流通しているプリペイド式の図書カードはそのような労力が減り、また表面に絵を印刷できるのお客さんがギフト用に贈るときにも便利になったという。

図書券を購入できる場所についてもたずねてみたが、現在入手するのは非常に難しいとのこと。
しかし、券と言えば金券ショップ。筆者は街に繰り出した。

普通に金券ショップにあった


まずは近場の店に行ってみた。棚にある数々の金券の中に図書券の姿を探したがやはりない……という事態を予想していたのだがいきなり見つけた。何件も店を回るうちに図書券を使っていた子供のころの懐かしい思い出が段々とたぐり寄せられる予定だったので、嬉しいのに悔しい。


運よくこの店にあっただけで、本当はもっと入手しにくいに違いない。図書券はこんなに簡単に買えてはいけない。そんな歪んだ思いで、ひとまず券を購入したのち、さらに別の店に向かった。

そして2件目……あった。
発行終了の図書券と販売中の図書カードが並ぶ姿が不思議だ。


気をとりなおして別の店に向かったが、3軒目も4軒目もあった。

そしてもう駄目だと思いながら訪れた5軒目。ついに図書券を置いてなかった。嬉しさのあまり、「本当ですか」と聞き返してしまった。店員さんに話を聞くと、販売終了しているのでなかなか売りに来る人がいないとのことだ。まさにこういう話を待っていた。



書店で図書券を使ってみた



ありがとう紫式部っぽい女性、無事本が買えた。店員さんは特に戸惑うこともなく、「図書券の使用ですね」と一言確認をしただけだった。このあっさりさは図書券が人々の日常に当たり前すぎるほど馴染んでいたことの証なのかもしれない。過去に発行された図書券は有効期限なく使えるようだ。

十二単をまとった女性が描かれたデザインの図書券は1986年〜1998年まで使われたもの。1998年から図書券が発行中止になる2005年までも、ほとんどこれと同じような絵柄の券だ。

この券は500円1枚つづりだが日本図書普及株式会社のサイトを見ると、過去には40円券の125枚つづり(計5000円)のものなどがあったらしい。バスの回数券のような「小口綴り込み券」から一枚券に変わったのは1976年。回収済券のコンピュータ処理導入に伴うものだという。


ちなみに、2016年6月から図書カードは次世代タイプの「図書カードNEXT」に変わる。QRコードで読み込みをしたり、サーバーでカードのお金を管理するという。
(掘電小次郎)