タバコが吸いたい衝動は旧石器時代ゆずりか(画像はヴァンダービルト大学プレスリリースより Photo:Deborah Brewington / Vanderbilt University)

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「ネアンデルタール人」由来の遺伝子が、現代人のうつ病やタバコへの依存、紫外線によって発症する皮膚がんなどに影響している可能性があるとする研究結果を、米テネシー州、ヴァンダービルト大学を含む複数の研究機関による共同研究チームが発表した。

「ネアンデルタール人」は旧石器時代に存在した、現在人の直系祖先「ホモ・サピエンス」とは別種の人類。かつてはホモ・サピエンスの祖先と考えられ、旧人と呼ばれていた。10〜5万年前には、一部の地域で両種が共存していたこともわかっているが、種が異なることからネアンデルタール人とホモ・サピエンスは混血していないとされていた。

しかし、2010年に現代人の爪や皮膚、髪の毛といった遺伝子に、ネアンデルタール人の遺伝子が1〜4%混入していることが判明。青い目や金髪、白い肌などはネアンデルタール人から引き継いでいる可能性が高いこともわかった。その後、外見的特徴以外に、どのような遺伝形質を受け継いでいるのか、解析が進められていた。

今回対象としたのは、欧州系の健康な成人2万8000人。電子カルテに記載されている疾患や遺伝情報に、ネアンデルタール人の遺伝子がどの程度関係しているかを分析している。

その結果、紫外線によって発症する皮膚がんの一種「日光角化症」やうつ病の発症リスク、タバコによるニコチン依存、脳卒中や肺塞栓症のリスクとなる凝固しやすい血液、といった体質が、ネアンデルタール人の遺伝子に由来していることがわかったという。

発表は米国科学振興協会誌「Science」、2016年2月12日号(Vol. 351, Issue 6274)に掲載された。

参考文献
The phenotypic legacy of admixture between modern humans and Neandertals.
DOI: 10.1126/science.aad2149. PMID: 26912863

(Aging Style)