新型BMW7シリーズは、BMW史上最高のハンドリングや乗り心地、高い静粛性を得ているのはもちろん、やはり気になるのは2年前に登場した最大のライバルであるメルセデス・ベンツSクラスを超えているか、というのが大きな関心事ではないでしょうか。

「ハンドリングと乗り心地の両立」は難しいというのは、BMWに限らず昔からいわれ続けていることですが、少なくても今回試乗したモデルに関しては、驚くほど高次元で両立されています。

それは、ほかのシリーズではハードな乗り味を示すことが多い「M Sport(試乗車は740i M Sport)」でも例外ではなく、荒れた舗装路でもほとんど振動を伝えず巧みに減衰されているのがよく分かる乗り味で、極低速域から高速域までその印象はほとんど変わりません。

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アルミとスチールに加えて、BMWが積極的に採用しているCFRP(炭素繊維強化プラスチック)によるハイブリッドボディを「カーボン・コア」と呼んでいますが、先代よりも130kg軽量化されたことで、若干の全長の拡大(20〜25mm)による重量増や装備の充実化をまかなって余りある効果を生んでいます。

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車両重量では、ベーシックな740i/740Liで70kgというダイエットになっていますが、サスペンションをはじめ、ブレーキやホイールなどの軽量化によりバネ下重量を先代から最大で約15%削減しているそうですが、大きさから想像できないほど軽やかな走りを披露してくれるのも新型7シリーズの大きな美点。

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良好な乗り心地や、音・振動面の徹底した遮断ぶりは運転席でも後席でも変わらない印象で、ドライバーとしてもパッセンジャーとしても高い満足感が得られるのは間違いありません。

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それでいながら、ドライビング時は、5m超の全長、2mに迫る全幅とは思えないほどBMWらしい一体感があり、街中から山岳路、高速道路まで退屈とは無縁の走りと、時には最新の安全、快適装備によりリラックスしながら運転も楽しめるのも魅力。

同じ条件下で比較したわけではありませんが、Sクラスと比べても約2年後発となるだけに、ハンドリングと乗り心地の両立という点では、7シリーズがきちんと年月分のアドバンテージを披露してくれます。

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なお、注目の最新装備や機能などは「全部のせ」状態に加えて、見慣れないトッピング(装備)もたくさんあるので、別記事でご紹介しますが、高級サルーンにも関わらず、シートのマッサージ機能が前席に標準で、後席はオプションというのもBMWらしいところ。

7シリーズを手に入れたら後席でふんぞり返ってばかりいないで、走りも楽しもう! というメッセージが発信されているような気がします。

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(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

新型BMW7シリーズの走りと乗り心地のよさはSクラスを超えた !?(http://clicccar.com/2016/01/03/345671/)