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 9月24日、女優の川島なお美が54歳の若さで亡くなった。川島なお美が人間ドックによって小さな腫瘍を見つけたのが2013年の8月。2014年1月28日、12時間にわたる胆管がんの腹腔鏡手術を受け、胆のうを摘出した。その後、川島なお美は自身が実践している民間療法について、ブログで紹介してきた。

 2014年3月27日のブログには、

「素晴らしい民間療法との出会いがありました」

 というコメントともに、安易に外科手術や抗がん剤を薦める医師に辟易してきたことも記されていた。腫瘍発見から手術までに期間が空いたのも、納得のいく医師を見つけられなかったからとしている。

抗がん剤は使わずに貫いた「女優道」

 7月5日のブログには、自身のがんは「完治した」とし、川島は抗がん剤を使わないことと民間療法を紹介していた。その内容は、食事のほかに免疫力アップのためのビタミンC濃縮点滴、電磁波による邪気を取り除くといったものだった。

 後日の報道で、川島さんのがんは寛解していなかったことが判明しているが、体にメスを入れたり、抗がん剤の副作用とされる髪の毛等の脱毛もなく、最後まで「女優・川島なお美」を貫き続けたことは明らかだ。

 川島は9月7日、シャンパンの宣伝のために夫のパティシエ・鎧塚俊彦氏(49)と記者発表に登場した。司会者から体調について聞かれ、

「邪気を払ったり、体を温めたりして治療をしてます」

 とハリのある声で答えていた。「激やせ」と報じられたこの日の会見から10日後、出演していた舞台「パルレ」を降板。その1週間後に、川島さんは早すぎる死を遂げてしまった。

 亡くなる直前まで舞台に立っていた川島の死には衝撃と悲しみが走ったが、川島が取り組んでいた民間療法の内容が判明すると、ネット上がザワついた。その内容とは、「ごしんじょう療法」と呼ばれる金の延べ棒だったからだ。

 ごしんじょう療法は貴田晞照(きだきしょう)氏が編み出した療法で、日本全国に貴田氏の弟子をはじめとする治療院が存在する。純金の延べ棒を患部や体全体に当てたりさすったりするものだ。

「スピリッチュアルかよ」
「治るわけねえ」
「現実逃避」

 ネット上では、その治療法にドン引きする声が相次いだ。スピリチュアルというと、EXILEのATSUSHI(35)がハマる生体エネルギーや、元オセロの中島知子(44)の洗脳騒動など、一緒に働くメンバーにまで悪影響を与えていると報じられ、怪しいイメージが大きい。

 さらに、早期治療を行わず、民間治療に頼った末に助からなかった点は、すい臓がんで亡くなったアップルのスティーブ・ジョブズさんと一緒だと、残念がる声もあった。

 川島さんと同じ事務所のタレント・山田邦子(55)は9月25日、TBSテレビ系「情報ライブ ビビット」で、川島さんが2013年7月に「余命1年」と告げられていたことを明かした。テレビなどの報道で川島さんの深刻な病状を知った人からは、「好きなことをして亡くなったのなら」と同情する声もあった。

 民間療法の是非はさまざまな意見があるだろう。しかし、がんと向き合った結果、自分らしく生涯を全うしたという事実は、揺るぎない。

(取材・文/春山修司)