『連続テレビ小説 まれ Part1』NHK出版

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朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)6月8日(月)放送 第11週「泥沼恋愛チョコレート」第61話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:渡辺一貴

「人の肌を知らんやつが チョコレートを人肌に温められるか。」
「一人前になりたければ 愛に溺れろ」

池畑大悟(小日向文世)の名言が月曜から炸裂!
ここのところ、週のはじめはまったりしていた「まれ」ですが、第11週ははじめから飛ばします。
2003年1月末、バレンタインデーまであと20日を残すのみとなった頃、希(土屋太鳳)はついにパティシエとして、あこがれの店マ・シェリ・シュ・シュ(すごく愛しい人の意味)で働くことになります。
(いろいろな作業の)「合間にほこりをコロコロ」している希がかわいかったですが、そういう微笑ましいヒロイン像は要らんとばかりに、大悟は希を前述のように挑発するのです。
「恋愛より今は仕事さけ」と頑張り屋さんのヒロインふうの台詞を言いますが、大悟は「そんな干からびた人間にうまい菓子がつくれるか」と否定するのです。

「失恋ショコラティエ」的に


おいおい、大悟さん「何かを得るために何かを捨てろ」って言っていたじゃないですかー、テンパリングと恋の両方を課題にするなんて。・・・とまたまた小姑ツッコミ入れたいところですが、おそらく彼にとって最も大事なのは菓子づくり。すばらしく美味しいケーキをつくるために役立つことはなんだってやるっていうどん欲さゆえかとも考えられます。
いずれにしても、主人公の気持ちが純粋だろうと不純だろうと、面白ければなんでもいい。「まれ」がにわかに、ドロドロ恋愛とチョコレートづくりを描いた「失恋ショコラティエ」的な感じになってきて、希の恋愛の毒によってお菓子が濃厚な味わいを生み出し、ドラマが盛り上がっていくでしょうか。ちょうど、希の気持ちをざわつかせるのにタイミングよく、圭太(山崎賢人/崎の大は立)と一子(清水富美加)が遠距離恋愛を育みはじめました。恋に浮かれた圭太のスキップが「まれ」11週へのなみなみならぬがんばりを感じさせます。
それにしてもマ・シェリ・シュ・シュの陶子(柊子、パックして登場するのは朝ドラにしては画期的かも)も浅井(鈴木拓)も相当干からびているんだから、ふたりにも恋しろって課題を出してあげてほしい。
(木俣冬)

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いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))