彫像「crash セイラ・マス」と製作者の西尾康之氏(撮影:井上浩一)

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11月6日から上野の森美術館で、「機動戦士ガンダム(ファーストガンダム)」をメインテーマとした、若手アーティストのアート展「GUNDAM−来たるべき未来のために」が開催されている。その作品の中でも一際目を引くのが西尾康之氏作の彫像「crash セイラ・マス」である。

 4ヶ月の期間を費やして「crash セイラ・マス」を完成させたという、西尾康之氏にお話を伺った。

−−巨大な「crash セイラ・マス」はどのようにして製作されたのですか?
西尾氏:僕は、自分の存在不安というのを造形物によって救おうと考える作家なんです。僕が造形に用いる手法は、粘土を指で広げていき、くぼませることで型を作っていくんです。例えば手であったら、手の型のようにくぼませていくんです。それで両側を作って合わせると立体になるんですが、僕が中に内包されていることをイメージしているんです。ネガティブに立体物を造形するという手法ですね。僕の刻印で、自分自身の存在不安を補填したいんです。

−−作品の製作で苦労されたところはどこでしょうか?
西尾氏:これを作るために4カ月かかりました。巨大というのは本当に困ったことでして、殺傷力がでるかもしれないんです。でも現実に殺傷力があるんですよ。これが倒れると本当に死ぬというか。それだけは絶対に避けなければならないということで、震度7でも耐えろという。それが凄く大変で、中は丈夫な鉄骨が組まれているんですが、それも耐震構造になっていて。外側の殻も20にパーツ分かれていて、フレキシブルな部分もとっています。それを組み込むのが大変でした。重さは1トンくらいなんですが、鉄骨との取り合いが大変でしたね。

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