北米産牛肉の輸入再開へ、安全性などについて答申案をまとめたプリオン専門調査委員会(撮影:宗宮
隆浩)

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内閣府の食品安全委員会のプリオン専門調査委員会は31日、都内で会合を開き、北米産牛肉の輸入再開に関して答申案をまとめた。生後20カ月以下の牛であることなど、輸入プログラムが守られるという前提なら「日本産の牛肉と比べてリスクの差は非常に小さい」と結論付けた。ただ、その前提が守られなければ結論は変わる、としており、日本政府の管理責任を強く求めた。

 答申案では、米国、カナダのデータが質、量ともに不足していたことなどから、米国産牛肉のBSEリスクに関し「科学的同等性を評価することは困難と言わざるを得ない」とした。輸入プログラムの条件は、生後20カ月以下の牛であることのほか、脳、脊髄(せきずい)などのSRM(特定危険部位)の全頭からの除去。3項目の付帯事項を添え、輸入再開に踏み切った場合でも、それらが順守されなければ、「一旦輸入を停止することが必要」と指摘した。

 審議後、座長の吉川泰弘東大教授は会見し、答申案について「『リスクが小さい』という言葉が一人歩きしては困る」と述べた。12月から、と言われている輸入再開の安全性については、「管理措置などの条件が整えばリスクは小さい」との結論を繰り返した。

 輸入が再開されれば、牛海綿状脳症(BSE)発生で2003年12月に輸入禁止なって以来約2年ぶり。今後、食品安全委員会が政府に答申し、政府が輸入再開について決定する。【了】

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