XFN-ASIAによると、ADB(アジア開発銀行)は8日、アジア・太平洋地域の経済見通しを発表した。その中で、2006年末にかけて原油価格が1バレル=70ドルまで上昇すれば、アジアでは、中国とインド、タイの3カ国が最も影響を受けるとし、来年の中国とインド、タイ、インドネシアの4カ国の経済成長率は最大で1%ポイント低下する可能性があるとしている。

  ADBの報告書によると、アジア諸国の中で、原油高騰に最も弱いのは、原油純輸入国のフィリピンやシンガポール、タイ。アジアの経済成長は継続しているが、原油高の影響は、インフレや補助金支出による巨額な予算赤字という形で出始めている。中国の石油精製業界は、今年の上半期に42億元(約578億円)の損失を計上しており、その結果、中国は極度の電力不足に直面している。

  また、インドでは、2004年の1年間に、LPG(液化石油ガス)と灯油の価格上昇の影響を緩和するための補助金支出が7億7650万ドル(約854億円)に達しているが、ABDの試算では、2005年には22億ドル(約2420億円)、2006年にはインドのGDPの1.1%に当たる93億ドル(約1兆0230億円)となる。インドネシアでは、2005年4月時点で、国営石油会社プルタミナへの補助金26億ドルの支払いが滞っており、同社のキャッシュフローと輸入石油製品への支払い能力を悪化させている。【了】